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episode32. ページ32

私が快斗になりすまして夕食を食べてしまったので、彼の食べるものがない__というわけで。
"何か食べたいものある?"と訊いたら"お前の手料理で良い"と言われたため、今は慎重に味見をしながら彼の分の夕食を作っていた。
ん、美味しい。
ぱちん、と火を止める。
テレビの中継で計画の成功を確認し、快斗の帰ってこないうちにと脱衣場に向かった。


__結局快斗が帰ってきたのは深夜帯に差し掛かるであろう時間だった。

「ただいまぁ」
「おかえり……って、何その服!大丈夫なの!?」
「なんとか、な。あんにゃろ、俺を殺す気かよ……」
「こ、殺す?」
「今回は本当、危機一髪だったぜ」

ふう、とため息を吐きながらも挑戦的な笑みを浮かべる目の前の彼に苦笑する。
上着もところどころ焦げ付いたり擦りむいたりしていて痛々しかった。

「もう、無理しないでよ?お風呂沸かしてあるから先入っちゃえば」
「ん、そうする……」


「あれ、」

風呂場の戸を開けるとすぐに、シャンプーの甘い香りが鼻をくすぐった。
誰かが使用した痕跡だろう。その張本人が誰かは安易に想像でき、鼓動が高鳴る。
ここを使ったのはあいつしか居ないだろう。

「__A」

その名前を口にするその瞬間も、動悸は止まることを知ろうとしない。
いくら怪盗の仮面を被って女慣れした振る舞いをする俺でも、そうある前に一人の男だ。
好きな相手のことで頭がいっぱいになるのも然り。あいつが好き__自覚は充分すぎる程にある。
丁度良い温かさに調節された湯に浸かりながら、改めてその気持ちと向き合ってみる。
はたして、想いは伝わるのだろうか。

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シルビア-Silvia-(プロフ) - つばき-tubaki -さん» ありがとうございます!!!自分でも書いてて叫びそうになりながら頑張りました(?)お褒めの言葉嬉しすぎます……!頑張りますね! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
つばき-tubaki - - シルビアさんもHoneyWorks さんが好きなんですね私もです!!!アリサちゃんのセリフが出てきた時嬉しくて叫びました(笑)。Honey Works さんみたいに面白いです!更新頑張って下さい! (2019年6月9日 17時) (レス) id: 4f1f916ec6 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 天音さん» そうです!!!アリサちゃんのそのセリフが可愛すぎてどこかで使えないかなぁと思って入れました笑HoneyWorksさん大好きなんですよ……!!ありがとうございます、更新頑張りますね!! (2019年6月8日 23時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)
天音 - 恋人になったんですね!ずっといつ告白するのかハラハラしてました。あの、もしかしてepisode41の「好きすぎて、やばい」ってHoneyWorksさんの「生意気ハニー」の高見沢アリサちゃんの台詞ですか?(違ったらごめんなさい)更新頑張って下さい(長々とすみません)。 (2019年6月8日 22時) (レス) id: d5e2e87506 (このIDを非表示/違反報告)
シルビア-Silvia-(プロフ) - 美紅さん» お褒めの言葉ありがとうございます〜!これからもドキドキさせられるよう頑張りますね笑 (2019年5月1日 15時) (レス) id: 1b30589c5a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Silvia | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年3月20日 14時

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