第060夜 ページ11
呆気なく見つかってしまった。
キャットＯと呼ばれたテロリストは無線に手を伸ばすと私を見ながら次の言葉を放った。
「いや、まだ見つからない」
《さっさと見つけ出せ》
「了解」
目の前で起きた出来事が信じられない。
テロリストの目の前に標的である私がいるのに、なぜこのテロリストは嘘を付いた？
「A、お前はいつまで逃げるつもりだ」
嫌と言うほど聞いたことのある声に、私は息を飲む。
さっきとは打って変わり、この場の空気が凍りつく。
この人はテロリストではない。私が必死になって逃げている原因そのものだ。
「どうした。震えてるぞ？」
マスクを取って、私に問い掛ける。
表情を作ることなく、淡々としていて何を考えているかわからないから、だから昔から嫌いだった。
震える体を必死に止めて、声を振り絞る。
「わ、ったし…は、」
袖からサバイバルナイフを取り出し、いつでも身を守れる様に反撃出来る様に、そして威嚇を表す様に手に収めた。
体の震えを止めても、この人の前だけは冷静を保てない。
昔から、そうだったから……。
カタカタと手が震えて仕方がない。
「まぁ、取り敢えずお俺に捕まっておけ」
「っ、イヤ、です」
震える足を何とか止めさせると私は後方に走り出した。
真正面で戦えば必ず捕まる。それほど勝ち目のない人物なんだ。
兄弟の中で圧倒的に強い。
「逃げるなよ」
いつの間にか私の目の前に移動し、立ちはだかる。
動いていた足をピタッと止めると、見えない速さで足を振り下ろした。
すぐさま受け身を取ろうとしたが間に合わず蹴り飛ばされ、さっきまでいた場所の柱に思い切り背中をぶつける羽目になってしまった。
「ッ……」
ズルリ、と力無く座り込む。
早く立ち上がらなきゃ、早くここから逃げなきゃ、早く…早く……！！
早くこの人から逃げたいのに、さっきのダメージで足に力が入らない。動いてよ私の足！
《ガキ四人捕獲》
「了解。あーあ、ガキが捕まったらしいぜ。どうする」
「！！……ッ、クソ」
柱に手を伸ばし、立ち上がればこの人に背を向けて歩き出す。
行く先は新一くん達がいる部屋へ。
後ろにいる人は、時々そこ右、左、直進と独り言を言っていた。
それが道案内だとわかってるからこそ、ムカつく。
そして、みんながいるであろう部屋へと近付くと男の声が聞こえた。
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メイリュー(プロフ) - noppiさん» コメントありがとうございます！！不定期ですが更新していきますので宜しくお願いします！！ (10月5日 13時) (
レス) id: e92fbb5050 (このIDを非表示/違反報告)
noppi(プロフ) - 続きも見たいです(*^▽^*) (2022年5月5日 15時) (レス) @page10 id: a056ba0898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メイリュー | 作成日時：2022年4月12日 14時
