第063夜 ページ14
キッド・私・新一くんという並びでヘリを待っていた。
「どこに工藤新一がいるんだよ? オメーだろ?」
「だー、かー、らー、俺に化けてくれって言ってんだよ!」
「ったく、またオメーに化けんのかよ…」
「……え?」
「………あ、いや…、手を貸すのはいーが、俺の仕事の邪魔すんじゃねーぜ?」
「そいつは保証できねーけど、なるべく努力はするよ」
と、こんな感じで私を挟んで会話をする二人を無視して、優雅に揺れる海を眺めていた。
蘭さんたちを心配するこの気持ちと、あの人が怖いと言うこの気持ちが揺れ動く。
あの人がいるって思えば思うほど、身体が震えてしまう。
「……どうした? さっきから黙って」
「いいえ、みんなが心配だなーって思っていただけですよ」
自分が震えていると言うことを二人に悟られない様に、私は砂浜を歩く。
新一くんには言えない。
あの人がいた事。タダでさえ爆弾とか、ハイジャックとか、バクテリアで大変なのに、心配事を増やしたくない。
「一人でなんとかしなくちゃ…」
「何をです?」
「!……キッド、あれ? 新一くんは?」
「トイレに行きましたよ」
いつの間にか私の隣にいたキッドは、真っ直ぐな瞳を向けていた。
目が晒せないほど真っ直ぐに……。
「……、」
キッドになら、言ってもいいのかも知れない。
そんな考えが一瞬頭を過ぎり、言い掛けた。
が、すぐにその言葉を飲み込み、笑顔をキッドに向ける。
「新一くんみたいに砕けた口調がいいなぁって思ったんです」
「本当はなんです?」
「え? 嘘はついてませんよ?」
「はいダウト。嘘は良くない。俺はAを見てたから分かる」
───見られていた。
彼は私を見ていてくれた?
……これがキッドの素なのかな?
なんだかそれが嬉しくて、私は思わずキッドに抱き着いた。
「……家出をした原因が飛行船にいます。
それが少し怖い…、でも飛行船に乗っているみんなが心配なんです」
「そっか…、大丈夫だ。俺がAを守ってやる。だから怖いことなんてない」
ギュッと抱き返してくれるキッドの腕に安心して、先程まで震えていた身体が止まった。
あぁ、この人は凄いな……。
「ありがとう、ございます。……行きましょうか飛行船へ」
飛行船に戻る決意が固まった。
みんなを助けるために再び飛行船へ私たちは向かう。
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メイリュー(プロフ) - noppiさん» コメントありがとうございます!!不定期ですが更新していきますので宜しくお願いします!! (10月5日 13時) (レス) id: e92fbb5050 (このIDを非表示/違反報告)
noppi(プロフ) - 続きも見たいです(*^▽^*) (2022年5月5日 15時) (レス) @page10 id: a056ba0898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メイリュー | 作成日時:2022年4月12日 14時