藤北解体新書……弐巻

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部屋へ戻る途中



自販機がある
休憩スペースでスタッフと話をしている
北山とニカを見つけた。


楽しそうにニカと目を合わせ
話をしている北山を見て





ーズキン






心が痛んだ。




さっきのLIVE中の
出来事が鮮明に蘇ってくる。



ねぇ、北山はなんとも思ってないの？

俺は…いくら事故とはいえ
やっぱり辛いよ。



北山のそのクチビルも
何もかも…俺のモノにしたい。



誰にも触れさせたくないよ。




そんな想いに浸っていると






北山と目が合った。



ードキッ



藤「北山…？」

北「ふじ「ねぇ、ミツ！」」


北山が俺に声をかけようとした時

ニカに遮られてしまった。



ニコッと笑って俺を見るニカ。

無邪気な笑顔の中に…何故か挑戦的な
ものを感じた。



北「えっ？なに…ニカ」

ニ「あのね、これがね…」


なんだかいたたまれなくなって
逃げるように部屋へ戻る。



ーバタンっ


すぐさま

ベッドに飛び込んだ。



目を瞑れば先程の
ニカの笑顔が頭に浮かぶ。





ーニカ…まさかお前も北山を？ー



異様な焦燥感に襲われた。




その感覚から逃げたくて



大好きなお風呂に浸かったり

大好きな音楽を聴いたり…





でも無理だった。




何をやっても落ち着かない。




そんなことしている間に

気が付けば



藤「…もうこんな時間か…」





日付が変わっていた。


藤「……わた、起きてるかな」


そっと部屋を出て

渉の部屋へ向かって歩き出す。



藤「……あれ？」



先程の休憩スペースに

一つの人影。



こんな時間に誰が？






覗いてみると




愛おしいアイツが
寂しそうに
テーブルの上のジュースの缶を見つめ
座っていた。


高鳴る胸の鼓動。

どきどきとうるさい。



気になって

藤「……北山？何してるの？」


と声を掛ければ





北山は少し困った表情で


北「……なんだか眠れなくて…」


と言葉を発した。

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