藤北解体新書……弐巻

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ニカへチューした件も
戸惑う顔も
見たくなった気持ちにも
後押しをされ




少し困った顔を浮かべ
俺に訴えかけている姿を目にしたら
考えるよりも先に身体の方が動いていて




目をしっかりと合わせてから
ニッコリと微笑み唇へとチューをした。




ニカの唇の感触なんて！
綺麗サッパリと俺の感触で消し去ってやる！
そんな思いが頭を支配し
唇の感触を塗り替えていた。




1回じゃ消し去れ無いでしょ？




チュっ//チュっ//




チュっ//チュっ//




チュウっ//




クチュっ//




だから、
何度も何度も角度を変えては感触を確かめ
そして、
唇だけでなく舌にも俺の感触を
シッカリと残した。




「……んっんっ、なっ何をっ……するんだよ！こんな演出……駄目に決まっ……。」





んふっふふ、よく出来ました！
その目を見開いて驚いた表情をしてからの
戸惑った顔は、完璧！
俺の想像していた理想通りの顔。




あぁ〜〜煩いな！
そんな大きな声を出さないで！
かなり暗くて見えずらいとは言え、
スタッフに気付かれるだろ。




チュウっ//




そんな煩く騒ぐ唇はこうしてやる！
再び塞いだ。




「これは、演出なんかじゃなくて本気のやつ！って言ったらどうする？」




唇を離し再び目を捕らえ見つめて言い放った。




ここで俺が好きだと本気だと言ったら
どんな態度をするんだろう。




もっと困る？それとも戸惑う？
お前の真っ直ぐな線と
俺のぐにゃぐにゃに歪んでいる線が
交わるとどうなるの？




そんな事が頭をよぎり
ずっと避けていた筈の事なのに




2度目のチューをすんなり受け入れ
腰に手を回してきたもんだから




伝える予定なんて
今もこの先も無かった筈の言葉を発していた。





「……俺だって本気だよ、ずっと前から。それなのに、ずっと避けて来たのは、そっちだろ。何時も変な演出で俺をからかったりしてさっ……。だから、お前が本気だって言うなら、俺はそれを喜んで受け入れるだけだ。」




受け入れると言葉では、言っているのに
苦しそうに睨んだような顔をしている。





んっははは〜
益々、俺好みの顔をしてくれちゃって
でもその表情は、
俺が本気だって思ってねーやつだろ？





だったら教えてやる！本気だって。
そして、
このぐにゃぐにゃに歪んだ愛情も。




お前が喜んで受け入れるって言うのなら……。




「好きなんて通り越して愛している。でも、戸惑ったり困った顔を見たくなる歪んだ愛情の持ち主なんだよ、俺は。」

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