【鬼滅の刃】蟲柱の妹は、妹だと名乗らない 肆

佰肆拾陸話〜時透side〜 ページ35

ーーAは綺麗だと思う。




強い意志があって、そのために努力して。




でも、たまに人の気持ちや思いに気づかない鈍さがあって。





時透「ねぇ、教えてよA。あれ、誰なの？」






けど、表情を変えることはあまりなくて。






『……誰って、知り合いですけど。』
時透「(……知り合い、ねぇ。)」








前に抱き締めた時だってそうだ。





焦る事もしなかったし、顔だって赤くならなかった。






……危機感というものがあるのかないのか。






それに今日の朝だって、普段どおりの表情をしていた。





……接吻されたら普段通りの表情なんて出来ないと思うんだけど。






「意識されてない。」





その言葉が頭を支配する。






時透「……A、僕が前言ったこと覚えてる？」
『………本気だからって言ってたやつですか？』
時透「そう。」






Aは年上だ。





でも1歳しか変わらない。








けど周りにはあの律ってヤツや鎹なんて人がいる。




煉獄さんだって、まだAの屋敷でお世話になってる。





……他を好きになられたら、やだ。






『……あの、離してくれませんか？盛り付け出来ないんで。』





なんとか抜け出そうともがくA。




それすらも可愛いと思う僕は重症だろう。






時透「……なら、今日ちゃんと僕の屋敷で稽古する？」
『……多分、……行きますけど…。』





ならいいや。




するりと拘束を解くと、Aは人数分の食器を出して料理を盛り付ける。






……そういうとこだよ、A。






どうやったらこっちを見てくれるんだろう。





鬼もいつまで大人しくしているかなんて分からない。







………今度、甘露寺さんに聞いてみようかな。

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