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「えっ?」
「さっきさー『今度』って行ったでしょ?またあの公園前で待ち伏せするのもやだし、連絡先教えて?」
そんなつもりで『今度』という言葉を発した訳ではなかったけれど、確かに私、勝手にまた会えるつもりでいた。
アイドル相手に何普通の友達感覚になっちゃってるんだろ、恥ずかしい。
「ね〜早くー。」
そんな私の気持ちはお構いなしに、玉森くんはスマホをぶんぶん振りながら催促してくる。
待て。ができない子犬みたいでなんだか可愛くて、つい笑顔になってしまう。
「わかったから、スマホ出すからちょっと待って。」
無事、番号交換をすませると、首をこてんっと右に倒して玉森くんがさっそくスタンプを送ってくる。
かわいいキャラクターが大きく腕でバツを作ってるスタンプ。
「Aちゃん、こんな簡単に番号交換したらダメだよー。」
ニヤニヤしながら彼が告げる。
「玉森くんこそ、アイドルがこんな簡単に一般人に番号教えたらダメだよ。」
「あ、たしかに。」
「ふふふっ気をつけてね。」
「はーい。」
ふてくされた子供みたいな返事をした玉森くんが可愛くて、また笑ってしまうと彼も一緒になって笑った。
「帰ろっか。」
その一言を合図に、私たちは店を後にした。
帰りのタクシー代は、これだけは譲れない!と半ば無理矢理私が払った。
玉森くんは私のマンションの前まで送ってくれて、「こんな簡単に家の場所教えちゃダメだよ。」って言った。
「じゃあ、またね。連絡する。」
私の頭にポンって手を置いて、そのまま髪の毛をひとふさすくって、名残惜しそうに撫でる。
少し寂しそうに見えた瞳と目が合い、ドキッとした。
スルッと髪の毛が落ちたと同時に、「バイバイ」っと言って彼は去っていった。
なんだかこの2〜3時間のことが夢みたいで、でも私のスマホには[玉森裕太]と登録されていて、送りあったスタンプもある。
現実感のない夜にポーッとしてしまって、酔っ払っているはずなのに、その日はなかなか寝付くことができなかった。
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作者名:kainaniak2 | 作成日時:2019年7月21日 1時