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『ほんとに?ポカリとか食べ物とかある?』
『大丈夫大丈夫。熱も下がってきたし、買い出しも後でいけるくらい回復したから。』
『あるんじゃん。足りないもの。なに。俺買ってくる。言って。早く。悪いからいいとかはなし。』
しまった。回復したからもう平気というアピールをしたかったのだけど、失言だった。
『いや、でも…『いいから!!!せっかく来たんだし、ついでだと思ってよ。』
私のお断りを途中で遮って玉森くんは譲らない。
これは、折れないやつだ。こうなった玉森くんはとても頑固だ。
この押し問答を続けても無駄だということはわかっているので、申し訳ないけど、買い物をしてきてもらうことにした。
15分後、オートロックのインターホンが鳴る。
ロックを解除すると、チラッとだけカメラの方を見て少しにこっと優しく笑う玉森くんが映った。
彼が来るまでに、少しでもましな部屋着に着替えてマスクを装備して待っていた。
部屋のチャイムが鳴り、彼の到着を告げる。
扉を薄く開けて、隙間からマスクを手渡す。
「買い物ありがとう。そして、これ、つけて。じゃないとこれ以上開けない。」
はーい。と彼はいつものゆるいテンションでマスクを受け取り装着した。
扉を開き、玄関に彼を招く。
「はい、これ。頼まれたものと、あと色々。」
「ありがとう!いくらだった?」
「いいよ。昨日のお詫びだと思って受け取って。」
有無を言わせぬ態度で、グイッとコンビニの袋を押し付けられてしまう。
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作者名:kainaniak2 | 作成日時:2019年7月21日 1時