CHUDOKU - y 1 ページ5
理不尽に上司に怒られた、まだまだ週始めの火曜日の帰り、会社から出たところでメッセージが届いていた。
[横尾渉 から画像を受信しました]
パッと開くと、ドンっと大きな魚の写真。
[立派な魚ー。どうしたの?]
返信すると即電話がかかってくる。
『あの魚、安くてうっかり買っちゃったんだよね。今から捌くからおいで。』
『えーーーー美味しそう…行こうかな、お腹減ったし…。』
『来るときに、ビール買ってきてー』
彼の中ではもう私は来ることになってるみたいだ。
『まだ行くって言ってないんだけどー』
『はいはい、駅ついたら連絡してー。』
ピッ。
私の返事を待たずに電話は切れた。
なんだか悔しかったけど、渉の料理は絶品だし、この陰鬱とした気持ちのまま帰るのも癪だったので、彼の家方面の路線へと向かった。
私と横尾渉は、高校時代からの友人だ。
何人かの仲間でつるんでいて、卒業してみんな進学や就職しても月に1〜2度は集まっていた。
そんな仲間たちが転勤やら結婚やらで地方に引っ越して行ってしまって、こっちに残ったのは私たち2人。
それでも、私たちは未だにみんながいた時と同じようなペースで飲みにいっている。
忙しい渉になかなか会えない時はさみしいし、こうやって会える時は胸が弾む。
でもそれは定期的に会っていた『昔の仲間』に対する思いで、渉個人に対するものじゃない。
そう、自分に言い聞かせている。
自分の中の気持ちと向き合いたくない。
いくら学生時代からの友達とはいえ、彼はアイドルだ。
私たち意外とのキラキラした世界があって、この気持ちを認めたところで、泣くのは目に見えているんだ。
だから、これ以上は。と思っているのに、彼と会うのをやめられなかった。
今もこうして、久しぶりに彼の家に向かっている。
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作者名:kainaniak2 | 作成日時:2019年6月24日 16時