135時間目 ページ35
兄さんについて分かったこと。
柳沢と呼ばれる科学者に兄さんは囚われている。
その場で何されているのか。
「反、物質…？」
「そう。『反物質』。彼はそれを『触手』って呼んでたよ」
「触手…」
反物質。
それを人間の体内で生成出来るようにする、というものだ。
兄さんはその場で、実験の道具にされていると言うことだ。
「それってどういうものなのラファエル。…知っているんだろ」
「…とても強力なものだろう。僕も実際に見ていないから予測しか出来ないけれど」
ラファエルに訊いた『触手』と呼ばれる反物質。
強力なものと言われれば気になった。
「それは、僕にも投与できる？」
「…正直、君に直接あれを投与したくない。移植という形になるものなら僕も対処できるだろう」
「それは僕を更に強くしてくれる？」
「…ああ。強大すぎる。だから今の君には与えたくない。でも君は、」
“欲しいんだろ？”
ラファエルの言葉は私の脳に響いた。
欲しい。
強さが欲しい。
「それは今、此処にあるのか？」
「…僕が作った『失敗作』なら」
「ならそれを…」
「『失敗作』だよ。成功作じゃない。…何が起こるか分からない。突然君を蝕んでいくかも知れないよ。…それでもいいの？」
「構わない。…元々その覚悟だ」
ラファエルは僕の言葉を呑み、僕のうなじに二つの『異物』を埋め込んだ。
それを付けた瞬間僕の身体は＿＿＿
「…っ！！」
痛みなのかわからない感覚に襲われる。
その苦しみの中で聞こえたのは『声』だ。
「どう、なりたい…？」
その声は触手の声だった。
「…僕は、僕は…！！」
触手に願った。
あの二人を…柳沢と呼ばれる科学者と、裏切った彼奴を殺したい、と。
そして、それを終えたら“死にたい”と。
どちらにせよ、この身体を弄りすぎた。
ラファエルのお陰で命が保たれているこの状況。…本来ならもう長くない。
あの人には生きて欲しい。
それは僕の勝手なわがままかな。
そうだろうな。だって、いつも妄想してた。
あの人と危険な事を忘れて過ごせる日常を。
…そんな日は一生来ないんだろうけど。
「…これを付ける事は、地獄の日々と付き合っていかなければならない。それに加え、この触手は成功作ではないから、どんな影響が身体に表れるかもっとわからない。…そこを用心するように」
これは、丁度一年前。＿＿＿12月の話。
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恵野(プロフ) - 柊りあさん» いえいえ！むしろありがとうございます泣 更新は現在時間が取れず出来ないのですが、今週の土日には時間ができるかもしれないので、その日を予定してます！ (2020年1月14日 21時) (
レス) id: d3fd993259 (このIDを非表示/違反報告)
柊りあ(プロフ) - 更新頑張ってください！一からまた読み返したんですけど、やっぱり面白い……!!応援しています！(何回もコメントするの、しつこいですかね？) (2020年1月14日 20時) (レス) id: 18aaf501b2 (このIDを非表示/違反報告)
恵野(プロフ) - 柊りあさん» コメントありがとうございます。更新出来ない期間が長かったので、書いた内容を覚えておらず曖昧な所もありますが…汗 これからも見てくれると嬉しいです！ (2020年1月4日 14時) (レス) id: 6bb0d67502 (このIDを非表示/違反報告)
柊りあ(プロフ) - この作品、面白くて好きです。これからも頑張ってください！ (2020年1月4日 14時) (レス) id: 18aaf501b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年10月24日 17時
