37時間目 ページ37
夢主sideに戻ります
＿＿＿＿＿
「一人一冊です」
そう言ってターゲットに手渡されたのは『夏休みのしおり』と書かれた辞書(？)だ。
･･･う゛っ、待て。これ･･･。
「た、ターゲット･･･、お、重すぎて･･･っ、持ちきれない･･･」
「にゅやっ！？」
「「「ひ弱すぎるだろ！？」」」
実は僕、筋力があり得ないほどない。
僕の体重が身長165�僂粒笋砲�40�埖紊任△襦�とても、と言うより異常に軽い。
何故かと言うと、僕は暗殺の為に自分の身体をかなり“いじった”のだ。
脂肪・筋肉が全くないわけではない。必要最低限はある。なかったらかなり不味いよね。
･･･実は人間の赤ん坊を持つのもしんどい、と思ったことがあるほど、筋力がない。
「代わりに持つよ」
「ありがとう磯貝･･･」
近くに居た磯貝が僕の代わりにしおりを持ってくれる。
･･･成る程。こういう男性の行動力に、女は胸を高鳴らせているんだな。
不覚だが、僕は磯貝に胸がキュンッとなってしまった。
「恐れられている暗殺者がこんなにもひ弱だと、イメージ変わっちゃうな〜」
僕が磯貝にお礼を言った後、席に着くと赤羽がそう言った。
「なっ･･･！絶対に言うなよっ！？暗殺の世界では僕は性別不明になっているんだからなっ！？」
「「「(凄い必死だ･･･)」」」
イメージが変わるのだけはダメだ！！！
・
放課後
僕は渚と茅野、杉野に赤羽というメンバーと共に、山道を降りていた。
「A、大丈夫？」
「茅野･･･、これが大丈夫に見えるか･･･？」
ぐったりした僕を見て、渚と茅野、杉野は苦笑いをしている。
「これから浅野君と会うのに、そんなんで大丈夫〜？」
「そこまで言うなら赤羽、僕の分まで引き取れ」
「や〜だね」
渚に視線を移す。
「なら渚、お前が引き取れ」
「何でっ！？」
次に杉野に目線を移す。
「じゃあ杉野」
「やだよっ！？」
ここにいる男どもは嫌がる奴ばかりだな･･･。
「磯貝は僕の分まで持ってくれたのに･･･！優しい男はここにはいないのか･･･っ！」
磯貝は紳士だった･･･。
実は教室から出る際も持ってくれたのだ。今はバックの中だが。
お陰で酔っ払いの様にフラフラとした足取りになっている。
「ねぇA･･･」
赤羽が低いトーンで僕の名前を呼んだ。
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
