38時間目 ページ38
「ねぇA･･･」
「なんだい？赤羽」
赤羽に呼ばれたので返事をする。
･･･が、無反応の赤羽。
じーっと僕を無表情で見つめる。
無表情って何考えているか読めないから嫌いなんだよ･･･。
「･･･赤羽？どうしたんだ？」
再び僕が呼んでも反応しない赤羽。
「なあ渚、これはどういうことなんだ？」
「えっ！？僕に聞かれても･･･」
渚とは仲がいい、と赤羽本人が言っていたので、友好関係がいい(と思う)渚に聞いたのだが、答えは返ってこなかった。
「･･･分かった！」
「か、茅野？」
突然茅野が叫んだので驚いた。
「分かったのか？赤羽のこの状態を」
「それよそれ！」
「え？」
ビシッ！と効果音がつきそうな勢いで人差し指を僕に指す茅野。
「Aは渚の事、何て呼んでる？」
「『渚』って呼んでるけど･･･」
「じゃあカルマ君は？」
「『赤羽』。･･･ああ、分かった。そう言うことか」
茅野の言いたいこと、赤羽が求めていることが分かったので、未だに僕を無表情で見つめる赤羽に向き直る。
「なんだい？『カルマ』」
「･･･何でもなーい」
赤羽･･･じゃなかった、カルマは音符がつきそうな勢いで僕の言葉に返事した。
「そんなに名前で呼んで貰いたかったのかい？」
「だって、『カルマ』でいいって最初に言ったのに呼んでくれないんだもん。しかも、渚君の方が先に名前呼びが定着してるし･･･」
「だからお前は僕の彼女か」
まあ嬉しそうなのでそのままにしておく。
･･･後ろから走ってくる気配。
「A〜っ！」
「うっ」
僕が振り返る前に、後ろから抱きつかれる。
くそぅ･･・。しおりのお陰で上手く動けなかった･･･。
まあ、声で誰かは分かる。
「な、何だ中村･･･。僕はもうしおりでお腹いっぱいなんだ･･･」
「Aの表情が凄いことになってる！？」
杉野･･･ツッコむ余裕があるなら助けてくれ･･･。
「カルマのことを名前で呼べたなら、次は私のことを『莉桜』って呼んでごらん？」
「り、『莉桜』、今すぐ僕から離れろ･･･っ」
「え〜、仕方ないな〜」
しぶしぶ僕を離す莉桜。
「じゃあじゃあ！私のことも『カエデ』って呼んで？」
「いいよ、『カエデ』」
嬉しそうにカエデは笑った。
そんなに名前呼びが嬉しいのか･･･？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
