23時間目 ページ23
邪魔したら悪いと思い、空気を読んで出ないで居ると･･･。
「あ、A！」
茅野が僕の名前を呼んだことで、僕に視線が浴びる。
五英傑の人の視線も僕を見る。
「中々面白そうな賭けをしてるじゃない。競争？僕もやっていい？」
「す、好きにしろっ」
五英傑の人がそう言って逃げるように図書室を出て行った。
「所で何の本を持ってるの？」
「ん？人間の身体の構造についての本。何か役に立つこと書いてないかなって思って♪」
皆、暗殺のことだと察してくれたのか、苦笑いして僕を見る。
「さっきの人たち、五英傑って言うんでしょ？凄い人なの？」
「えっとですね･･･」
奥田が説明してくれる。
椚ヶ丘中学校はクラスがA〜E組あり、特進クラスのA組の中でも最も成績のいい五人の生徒達の事だと言う。その中で一番成績がいい人が･･･。
「『浅野 学秀』？もしかして理事長殿の･･･」
「そう、理事長の実の息子よ。さっきはいなかったけど」
中村が説明してくれる
自分の経営する学校に子供を通わせているんだ〜。
「そいつが一番成績いいのか･･･。じゃあ僕の敵はそいつって訳ね」
「浅野より成績いい人見たことないぞ？」
磯貝の言葉に僕は「なら好都合」と答える。
「その方が潰し甲斐があるだろ？」
ニヤリとした僕を、皆は苦笑いをしながら見ていた。
・
僕は、『対期末！強化授業』と書かれた黒板をぼーっと見ている。
すごーい。高速で動くことで分身つくってるんだ〜。
流石の僕にも目では追えないし、本当に分身しているようにしか見えないや。
ターゲットから渡された小テスト、解き終わったから暇なんだもん。
隣の赤羽なんて、参考書か教科書か知らないけど顔に乗せてあくびなんてしているし。
「素晴らしい！満点ですAさん！」
「当たり前。それより、もう僕のこと名前で呼んでくれないの？」
と、ターゲットと会話していると急に分身が消える。
僕の隣にいるターゲットがはっきり見えるので分身を･･･というか高速移動を止めたのだろう。
赤羽が何か言っている様だが、興味がないので携帯をいじる。
･･･あ、着信がある。依頼が一件来てるな。
「ターゲット、悪いんだけど、依頼が来ているみたいだから出てくるね〜」
「えっ、Aさん！？」
そう言って僕は依頼に対応するため、教室を出た。
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
