22時間目 ページ22
「君たちの校舎と本校舎の造り･･･、差がありすぎじゃないか？」
隣に歩いていた潮田が苦笑いする。
「そりゃあ･･･うちらは『エンドのE組』だからねぇ』
中村がそう言い、この学校･･･椚ヶ丘中学校のシステムを説明してくれた。
なるほど。E組という差別対象をつくることで、自分もそうなりたくない、と言う心を作っている訳だ。
面白いシステムじゃないか、浅野理事長殿？
暫くして図書室に着く。
うん、中々広いな。
「僕ちょっと見て回りたいから、もし分からないことがあったらこれ鳴らして」
そう言って僕は携帯を机の上に置く。
「わかった。迷子にはならないか？」
「磯貝、それは僕を馬鹿にしているのか？」
「
ああ、成る程。君たちなりの心遣いって訳ね。
「大丈夫。僕はここより広い図書室、と言うより、図書館に入ったことがあるから」
えーっと、確かアメリカだったかな･･･。
もうあれは外観が図書館に見えなかったな。あれはもう教会にしか見えなかったな、うん。
「アメリカに行ったことあるんだね」
「まぁ、アメリカから依頼が来たから、むぐっ」
神崎の言葉に返答していた僕の口を急いで塞いだのは茅野だ。
「あんまり外でそう言う話をしちゃダメだよっ。秘密なんだからっ」
「あ、そうだったの？ごめんごめん」
小さな声で僕に注意をする茅野。
そうだったそうだった。防衛省からもそんなこと言われてたわ。
「じゃ、そういうことで」
僕はそう言って彼らの元を離れてブラブラと図書室を歩く。
何見よっかなー。あ、人間の身体についてでも見ようかな。
暗殺の何かに使えるかもだし。
僕はその本を手に取って、皆のいる机に戻ると･･･。
「あら？もしかして、修羅場？」
僕が見た光景は4人の生徒に何かを言われているクラスメイトの姿だった。
「もしもし失礼、そこのお嬢さん。あの四人はどなた？」
「貴方知らないの？あの方達は『五英傑』の榊原君と荒木君と小山君と瀬尾君よ！？」
五英傑、か･･･。
うん、知らない。だってE組の子達しか調べてないし、調べても必要ないでしょ。
「私、転入生でよく知らなくて。教えてくれてありがとっ」
教えてくれた女子生徒に笑顔でお礼を言って、彼らの元へ歩く。
すごい顔が赤かったけど、僕の顔に見惚れたのかな？
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
