21時間目 ページ21
イリーナが悔しそうに教室を出て行った後
「そういえばAさん。転入早々申し訳ないのですが、期末テストが迫っていましてね･･･」
ターゲットが思い出したように言った。
テスト、ねぇ･･･。
「それ、絶対に受けなきゃいけないの？」
「学生たる者、当たり前です」
とは言ってもなぁ･･･。
「僕、テスト受けても意味ないんだよね」
「にゅ？どうしてです？」
僕は制服の内ポケットに入れておいたものを取り出す。
「これ、なーんだ？」
「･･･これは！」
ターゲットは僕の所まで歩いて来て、僕が持っているものを見る。
「大学までに習う一般教養は全て習得済み。それの証明書みたいなものだよ」
テスト受けても正直意味ないんだよね。
「取り込めるものは大体インプットしたつもりだよ。中学生の一般課程は、ここに配属されるのが決まってから復習はやっているし」
僕の言葉を聞いて、ターゲットはヌルフフフと笑った。
「どうやらAさんは椚ヶ丘中学校をなめているようですねぇ」
･･･そのしましま模様の顔、腹が立つな･･･。
「普通の中学校とは違うとでも？」
「ええ。面白いですよ」
そこまで言うなら･･･。
「受けてみよっかな、テスト」
「本当ですか！」
周りに花がとんでいるような雰囲気を出すターゲット。
･･･仕方ないから、暇つぶしにやってあげるよ。
・
「A、ちょっといいか？」
「えーっと、確か『磯貝 悠馬』だったかな。なんだい？」
休み時間に入ったとき、磯貝が僕の元へ来た。
「今日の放課後、本校舎の図書室で勉強するんだけど･･･良ければ分からないところを教えて欲しいんだ」
磯貝に続いて潮田、茅野、神崎、中村がやって来て、前の席に座っている奥田が後ろを向いて、僕を見る。
「メンバーはここにいる六人？」
「ああ」
まぁ、本校舎･･･理事長には近々顔を出さないといけなかったし･･･。
「わかったよ。どちらにせよ、本校舎には行かないといけない理由があるし」
今のところ、依頼は来ていないし放課後は暇だから。
たまには光の当たった、年相応の事をやってみようじゃない。
「この僕に任せなさいな！」
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＿＿＿何処からか、暖かい視線を感じた。
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作者名：恵野 | 作成日時：2019年6月7日 21時
