嫌いになりたい【wrwrd!】 (ページ33)

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待つこと数分、幹部全員が集まった。兄さんも、しんぺいも。

『それでは、なんの御用でしょうか？』

「A、ほんまにすまんかった。一回のミスで、無能やって呼んで。しんぺい神から、ストレスの症状聞いた時、俺らが無能にしたんやって思って、後悔したんや。すまんかった」

トントンが頭を下げる。

「俺も、ふざけて無能って呼んどったら急に態度変えて、ムカついたからって暴言吐いてもうた。すまん」

ゾムも続ける。誰かが続ける前に私は止める。こんな謝罪、いらない。

『私は謝って欲しいなど思ったことはありません。確かに辛かったですし、痛かったです。でも今はなんともありません。元気ですよ、ね、ぴくとくん』

「まぁそうだね、毎日書類をやってたくさん食べて、馬鹿じゃないのってほど筋トレするくらいには元気だね」

『ひっどいなぁ』

私がぴくとくんの予想外の返しに笑っていると、周りは申し訳なさそうにしている。あれ、おかしいな。

『…？皆さんは、私が嫌いで、追い出したいのではなかったのですか？今こうなって、幸せではないのですか』

「そんなわけ、あらへんよ」

「Aは、好きや。けど素直になれんかってん」

「Aちゃんに嫌な態度とる度に努力してんの見て、自惚れとった」

「気づいた時にはもう遅かった。Aちゃんを心配したけど、する権利がないって思ったんだ」

「Aがおらん間、めっちゃ後悔したんや。なんであんなことしてもうたんやろって」

みんなが泣きそうな顔で謝ってくる。違う、ちがうんだ。私は、みんなに幸せになって、一生笑える生活を送って欲しいんだ。泣かないでくれ

でも、泣かせているのは私で、私がいなきゃこんなことにはならなかった。

「A？大丈夫？」

ぴくとくんが顔色が悪いであろう私を見て心配そうに話しかけてくれる。しんぺいも駆け寄ってきて、私の背中を擦る。

『ん、大丈夫…もういい、十分聞いた』

今更後悔したって遅いんだ。私が残されている道は、一つだけ。それも、幸せな道。

『どんなに謝られたって、許すも何もありません。私は怒ってなどないんですから。そして、もう戻る気はありません。私はぴくとくんの所で働きます。どうか私のことはお忘れになって、いつも通り過ごして下さい。行こうか、ぴくとくん』

「うん」

忘れてくれればいい。これからはただの護衛として、接してほしい。

『大好きです。何時も影から応援しております』

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