gからの内通者【wrwrd!】 (ページ23)

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なかまページ23

sn｢…君は、何を思ってるの？｣

微笑んだ顔が固まる。
彼は雑面を外し、私と目を合わせた。
白に近い水色の瞳が水のように体内に入ってくるみたいだ。

sn｢悲しそうな顔してる。｣

もう国に5年も帰っていない。
そんな気持ちが出てしまったのか。
首を振って否定する。

『気のせいだと思いますよ。』

sn｢逃げ出したとはいえ、母国を思うのは当然だと思うよ。そんなに気持ちを押し殺さなくても…｣

『ペ神さん。』

彼の言葉を遮る。

『私は我々国の書記長補佐です。』

国への未練なんてない。
そう思わせるように笑う。
彼はまだ納得してなさそうな顔をしている。

『そろそろ、夕食の時間ですね。』

時間の15分前だ。
ここからは5分程かかる。
そろそろ出ればちょうど良い時間だろう。

sn｢隠しちゃダメだよ。｣

『何も隠していませんよ。』

2人で外へ出ると、兵が私にぶつかった。

｢ぶつかってしまってすみませーん。｣

よく見た事のある顔。
なんで、なんでお前がここに。

｢しんぺい神様、グラシア様。｣

牛沢さんよぉ。

sn｢気をつけるんだよー。｣

us｢はーい。｣

すれ違った時、耳元であとでなって言われた。
なんでここにいるの。
しかも新兵ではないことが分かる。
その後の夕食は味がしなかった。
周りからは慣れない環境だからと言われたが、牛沢のことが気になって仕方がない。

tn｢グラシア。部屋隣やから途中まで一緒に行くか。｣

ht｢みんな一緒なんだけどね、結局。｣

わらわらと扉を開けて外へ出る。
歩こうとしたが、そこには牛沢が横で待っていた。
彼は私を見つけると、すぐ近寄ってくる。
バラす気？
彼は敵なの？
私の思惑を見通すように牛沢は笑う。

us｢グラシア様、初めまして！俺、佐々木って言います。本日より専従執事を務めさせていただきます！｣

kn｢おお？佐々木おま、昇進したんか！｣

us｢急っすよねー。｣

tn｢グラシアに説明もあるから、佐々木も一緒に行こか。｣

どうやら幹部たちには専従の執事たちがいるらしく、私にも付けられることになったらしい。
彼らはハニートラップ防止でもあるそうだ。

牛沢をチラリと見たが、優しく微笑むのみ。
偽名を使っていることから敵ではないことが分かるが…。
潜入任務なら、なんで私に言われなかったんだ。

書記長たちに礼をして、2人で部屋に入る。
ドアがバタンと閉まった瞬間、彼は後ろから私を抱きしめた。

us｢久しぶり、俺らの妹。会いたかった。｣