No.292 ページ1
「やぁゼルダ。元気にしてたか？」
白鯨のとある一室に、明るい声が響く。
その声の主、フィッツジェラルドは電話の向こうからの声に少し困ったように眉を下げた。
「あぁ、電話が五分遅れたのは謝るよ。何しろ仕事が大詰めでな。＿＿＿＿……いや、勿論だ。どこにいようと愛しい妻の事は一秒だって忘れないさ」
愛情が溢れた言葉を優しい声で紡ぎながら、軽くネクタイを緩める。
そして少し笑いながら冗談めかした言葉を掛けた。
「聞いたぞ。またシェフを解雇したのか？せっかく欧州の最高級レストランから引き抜いて……＿＿＿＿いや、責めてなんかいないさ。本当だ。君のクリームチーズ嫌いを知らない料理人なんて世界から滅びればいい」
彼は小さな机の上に置いた写真立てに触れた。
その中には、フィッツジェラルドと一人の女性が仲睦まじく寄り添った姿が写された写真が入っている。
「娘？確か……ロンドンに留学中だよな？けどあの子は……＿＿＿＿いや、勿論あの子のことも愛している」
相手が出した話題に少しだけ眉を顰めた彼はそう云うと、目を細めた。
「悪いが客人だ。また電話する。愛しているよ、ゼルダ」
フィッツジェラルドは通話を切って画面が暗くなった携帯端末を机の上に伏せて置いた。
「さて……」
ゆっくりと振り返り、扉の前に立ち尽くす敦をその目に映す。
「待たせたかな」
彼は、先程まで電話相手に向けていたものとは全く違う薄い笑みを浮かべた。
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凛(プロフ) - 仍さん» お祝いのお言葉有難う御座います！このシリーズでも楽しんでいただけるよう頑張らせていただきます！ (2019年8月11日 18時) (
レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
仍 - とても、遅くなりました！続編おめでとうございます！ (2019年8月11日 18時) (レス) id: 748d83af02 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - りんさん» コメント有難うございます！そして祝ってくださり有難うございます……！続編でも楽しんでいただけるよう頑張らせて頂きます！ (2019年7月19日 23時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編おめでとうございます続き楽しみにしてます (2019年7月19日 23時) (レス) id: bd39a087a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛 | 作成日時：2019年7月19日 23時
