検索窓
今日:10 hit、昨日:10 hit、合計:34,517 hit

No.293 ページ2

「短い別れだったな、少年。お探しのモノはこれか?」




フィッツジェラルドは振り返りながら、手に持った制御端末をちらつかせる。



敦は想定外の人物の存在にドアノブに手を掛けたまま立ち尽くしていた。





「貴方が……白鯨の制御端末を守る警備(ガード)?」



「俺がここまで登り詰めた成功の秘訣その一だ。『仕事の一番大事な部分は他人任せにするな』」





手の中の端末を軽く放り投げながら、飄々とした様子で云うフィッツジェラルド。





「ところでこの白鯨の重さを知っているか?」





脈略の無い話題に疑問の表情を浮かべる敦に、フィッツジェラルドは口端を釣り上げる。





「総重量2万9千トン。上空2キロから落すればTNT爆弾140トン相当のエネルギーが市街のど真ん中で炸裂する」





大地はえぐれ、巨大なクレーターを残し、地表はカーペットのようにうねってあらゆる建物をなぎ倒す。後に残るのは完全な更地だ。



数値的な話ではうまく実感が湧かなかった敦だが、何でもないように話されたそれにより予想される被害に怒りで顔を歪めた。





「そんな非道……絶対に許されない」



「秘訣その二。『他人の価値観に流されるな』」





敦を指さしながら云ったフィッツジェラルドは、椅子の背もたれに軽く触れた。





「とはいえ君も俺も忙しい。端末を奪い合うなら簡潔(シンプル)に行こう」





フィッツジェラルドが制御端末を椅子の座面に置いた。



理解出来ない行動に敦が困惑する。



それに構わず、フィッツジェラルドは背もたれに左腕を乗せながら云った。





「三つ数えたら同時に走り、先に端末を手にしたほうが勝者」





提示された端末の奪い合いの方法に、敦が目を大きく見開いた。

No.294→←No.292



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (75 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
274人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 仍さん» お祝いのお言葉有難う御座います!このシリーズでも楽しんでいただけるよう頑張らせていただきます! (2019年8月11日 18時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
- とても、遅くなりました!続編おめでとうございます! (2019年8月11日 18時) (レス) id: 748d83af02 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - りんさん» コメント有難うございます!そして祝ってくださり有難うございます……!続編でも楽しんでいただけるよう頑張らせて頂きます! (2019年7月19日 23時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編おめでとうございます続き楽しみにしてます (2019年7月19日 23時) (レス) id: bd39a087a2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2019年7月19日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。