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No.249 ページ8

真正面から爆風を受けた敦は、ひび割れたコンクリートの地面に叩き付けられた。





「が……はっ……!」





口から血が混じった胃液を吐く彼の両足に、新たな弾丸が撃ち込まれた。



地面に伏せた敦の体が跳ね、目が大きく見開かれる。



白鯨の中では、ハックが淡々と報告をしていた。





「標的の両脚部を破壊。移動を封じました」



「終わりだね」





トゥエインは双眼鏡を下ろすと、惜しそうな表情で呟いた。





「君は間違いなく『トゥエイン大活躍日記』最大の好敵手だったよ」





彼にとって、最高の賛辞を口にする。



満身創痍の敦は、自分の少し先に落ちていた人形に必死に手を伸ばしていた。



最早這うことにさえ身を裂かれる激痛が伴うその体を突き動かすのは、自分がやらなければいけない使命だった。



そんな彼の耳に、2つの靴音と杖をつくような音が聞こえた。





「君の勝ちだよ、敦君」



「敦、良くやったね」





彼の目に映ったのは、ふわりと揺れる2つの砂色。



敦が顔を上げた其処には、片腕を吊り下げた太宰と松葉杖を突く時祢が居た。



彼は目を見張り、無理やり上半身を腕で支えた。





「太宰さん…時祢ちゃん……!?」



「君の魂が勝った。これで街は大丈夫だよ」



「お疲れ様。任務は達成、治癒力じゃ治しきれないだろうし帰ったら治療してもらおう」





少し微笑む太宰と淡々と、だが普段より温かみのある声で云う時祢に、敦は必死に訴える。





「危険です太宰さん、時祢ちゃん!空から敵の銃撃が」



「どうかな?」






太宰がにんまりと笑った。



時祢が上着のポケットから、何かのリモコンを取り出す。



彼女は、たった一つだけ着いたそれの釦を押した。





________ピッ。





そして、街は白煙に包まれた。

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(プロフ) - 仍さん» コメント有難うございます!夢主ちゃん全力で撫でまくって褒めまくらなきゃいけないレベルで頑張らせてしまいました……!!原作見て「此処はこうしたらいい感じかな……?」って思ったとこの回収全部任せてしまってごめんね夢主ちゃん……() (2019年6月11日 0時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
- 夢主ーーーー!!頑張ったね! (2019年6月11日 0時) (レス) id: 748d83af02 (このIDを非表示/違反報告)
探偵社の幼女社員 - ありがとうございます!楽しみにしてますね! (2019年6月10日 6時) (レス) id: b41e54e8cd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 探偵社の幼女社員さん» なるほど……ではもう少し私が個人的に落ち着けるようになれば、クロスオーバー用の番外を作りましょうか?かなり更新頻度は低くなるとは思いますが…… (2019年6月9日 13時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
探偵社の幼女社員 - そうですか…実はTwitterがアカウント凍結されてて…(--;)使えない状態で…もし落ち着いたら占ツクでやってくれますか? (2019年6月9日 13時) (レス) id: b41e54e8cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年4月14日 23時

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