No.287 ページ46
「制御端末を使うしかない」
体の殆どを機械へと置き換えられ、異能の持ち主の制御が不可能になった今、此の空飛ぶ要塞を制御出来るのは機械の制御装置ただ一つ。
メルヴィルは敦が入って来た扉を視線で示しながら云った。
「左に進んで吹き抜けの先じゃ。無論、警備は厳しいがな」
それを聞いた敦は即座に踵を返し走り出した。
だが、扉の枠に足を掛けた所で止まる。
そして、背を向けたまま訊ねた。
「全員避難したのなら、何故貴方は残っているんです?」
メルヴィルはパイプを口に銜えてから、「何故かな……」呟いた。
独り言のように、誰に聞かせるでもなく言葉を続ける。
「かつて白鯨は空を泳ぐ異能生命体じゃった。それを組合が空中要塞に改造した」
メルヴィルは丸窓の外に広がる空を見上げた。
何かを探すかのように、白い雲を眺める。
「その白鯨が異国の地に落ちて人々を皆殺しにするなら、せめて……儂も共に落ちようと思う」
相棒であり、友であった白鯨と運命を共にすると、メルヴィルは云う。
異能の使い手である彼は、自らの異能を愛していた。
「機械の体になる前の白鯨は美しかった。かつて組合がそうであったように」
敦はメルヴィルの横顔を少しの間見つめ、再び走り出した。
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凛(プロフ) - 仍さん» コメント有難うございます!夢主ちゃん全力で撫でまくって褒めまくらなきゃいけないレベルで頑張らせてしまいました……!!原作見て「此処はこうしたらいい感じかな……?」って思ったとこの回収全部任せてしまってごめんね夢主ちゃん……() (2019年6月11日 0時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
仍 - 夢主ーーーー!!頑張ったね! (2019年6月11日 0時) (レス) id: 748d83af02 (このIDを非表示/違反報告)
探偵社の幼女社員 - ありがとうございます!楽しみにしてますね! (2019年6月10日 6時) (レス) id: b41e54e8cd (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 探偵社の幼女社員さん» なるほど……ではもう少し私が個人的に落ち着けるようになれば、クロスオーバー用の番外を作りましょうか?かなり更新頻度は低くなるとは思いますが…… (2019年6月9日 13時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
探偵社の幼女社員 - そうですか…実はTwitterがアカウント凍結されてて…(--;)使えない状態で…もし落ち着いたら占ツクでやってくれますか? (2019年6月9日 13時) (レス) id: b41e54e8cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作成日時:2019年4月14日 23時