検索窓
今日:6 hit、昨日:9 hit、合計:105,232 hit

No.257 ページ16

「竟にこの時が来たな」





福沢が静かな声で云う。



二人の間には、互いに後一歩踏み出せば埋まるくらいの距離が横たわっている。



森は愉快そうにクスリと笑った。





「探偵社とポートマフィア。横浜の二大異能組織の長がこうして密会していると知ったら政府上層部は泡を吹くでしょうねぇ」





少なくとも異能特務課の胃痛は約束されているだろう発言をした森を気にした様子もなく、福沢は本題を切り出した。





「単刀直入に云おう。探偵社の或る新人が、貴君らポートマフィアとの『同盟』を具申した」



「ほう」





森は驚いた様子もなく、福沢に話の続きを促す。





「私は反対した。非合法組織との共同戦線など、社の指針に反する。だがそれは、マフィアに何度も撃たれ、斬られ、拐かされた者から為された提案だ。言葉の重みが違う」





最もポートマフィアの危険性を身をもって知る少年が、真剣に訴えかけた。



敵ではあるが、外国からの侵略者に立ち向かう上で最も戦力になる存在との同盟を。





「故に、組織の長として耳を傾けざるを得なかった」



「お互い苦労の絶えん立場ですな」





顎に折り曲げた指を当てて笑う森。



福沢は一筋の風に白い髪を揺らしながら、彼を見据えた。





「結論を云う。同盟はならずとも、一時的な停戦(・・・・・・)を申し入れたい」





少し沈黙を落とした森は、スッ、と目を細めた。





「興味深い提案だ」

No.258→←No.256



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (95 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
242人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 仍さん» コメント有難うございます!夢主ちゃん全力で撫でまくって褒めまくらなきゃいけないレベルで頑張らせてしまいました……!!原作見て「此処はこうしたらいい感じかな……?」って思ったとこの回収全部任せてしまってごめんね夢主ちゃん……() (2019年6月11日 0時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
- 夢主ーーーー!!頑張ったね! (2019年6月11日 0時) (レス) id: 748d83af02 (このIDを非表示/違反報告)
探偵社の幼女社員 - ありがとうございます!楽しみにしてますね! (2019年6月10日 6時) (レス) id: b41e54e8cd (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 探偵社の幼女社員さん» なるほど……ではもう少し私が個人的に落ち着けるようになれば、クロスオーバー用の番外を作りましょうか?かなり更新頻度は低くなるとは思いますが…… (2019年6月9日 13時) (レス) id: d2f0ba7099 (このIDを非表示/違反報告)
探偵社の幼女社員 - そうですか…実はTwitterがアカウント凍結されてて…(--;)使えない状態で…もし落ち着いたら占ツクでやってくれますか? (2019年6月9日 13時) (レス) id: b41e54e8cd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2019年4月14日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。