包帯無駄遣い装置の妹さん【文スト】

No.27 ページ29

私は構成員が運転する車の窓から外を見ていた。



漸く出張が終わり、今は時祢が待つ本部の前に向かっている。



長時間彼女に逢えなかった上に中也と一緒だった為、少し不機嫌だ。



構成員も出来るだけ速く車を走らせている。



そしてやっと見えた本部の入り口と、其の前に立つ赤髪の友人と妹の姿。



車が止まった瞬間私は車から飛び出し、時祢を抱き締めた。





｢時祢、只今!｣



｢お帰りなさい。お疲れ様｣





存分に癒やされた後、私は時祢を抱いたまま織田作に向き直った。





｢織田作、時祢の面倒を見てくれて有り難う｣



｢嗚呼。俺も愉しかった｣





何となく二人の一日を想像して、つい笑ってしまった。





｢治お兄ちゃん、見せたいものがある｣



｢ん？｣





時祢が私の腕から降り、織田作に持って貰っていたらしい何かを受け取った。



それは、巻かれた紙。



時祢は其れを私に手渡した。





｢はい｣





私は其れを広げ、驚いた。



其れは、私の似顔絵だった。



横からの視点で、どうやらLupinに居る時の姿らしい。






｢エリスと描いたの｣



｢…!迚も嬉しいよ、有り難う｣





つい上がる口角。



時祢の頭を撫でると、彼女は猫のように目を細めた。



織田作が微笑ましそうに私達を眺めているのに気付いて、少し擽ったくなった。

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