検索窓
今日:5 hit、昨日:14 hit、合計:741,378 hit

No.16 ページ18

「誘拐じゃないなら何故太宰君がそんなに幼い子を連れているんです?」



「此の子私の妹だから」





ピシッ、と固まる安吾。



私は笑いを堪えつつ、時祢を彼に向き直らせた。






「時祢、御挨拶して?」



「太宰時祢です」





私が膝から降ろさない為、座った状態のまま頭を下げた時祢。



安吾は少しズレた眼鏡を直しながら時祢を見た。





「僕は坂口安吾です」



「安吾さん」



「…本当に太宰君の妹さんなんですか?」



「疑り深いなぁ」



「容姿以外剰りにも似ていないので…」





安吾が何時もの定位置に腰掛ける。






「そう言えば、時祢は今何歳なんだ?」





織田作が不意に聞く。



そう言えば、私も予想はしたものの聞いていなかった。





「今年で八歳」



「ということは、今年の太宰の誕生日が来たら十歳差か」





私と時祢を見比べる織田作。



時祢はオレンジジュースの氷を眺めている。






「太宰君に子供の世話が出来るんですか?」



「信用無いね…まあ普通の子供の世話は御免被るけれど、時祢は良い子だからね。手間も掛からない」



「嗚呼…逆に世話を焼かれてそうだな」



「え、何故分かったんだい?」



「図星ですか」





仕方ないだろう。



私は生まれてこの方子供の世話をしたことなんか一度も無い。



多分時祢以外だったら直ぐに投げ出してしまう気がする。





「時祢さんは苦労しそうですね」



「…時祢」



「え?」





時祢がグラスから顔を上げ、安吾を見詰めた。





「さんは要らない」



「……分かりましたよ、時祢」





安吾が根負けして、時祢の頭を撫でる。



時祢は何処となく満足そうに頷いた。

No.17→←No.15



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (585 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
898人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

麗葉 - 大好きすぎて気づいたら四回も?読んでました(笑)体調に気をつけて頑張ってください! (5月2日 21時) (レス) id: 14fd5e9416 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫好きさん» 本当にそうよねえ奥さん←←もう先生は私を苦しめようとして来てるとしか思えないですよ…小学校卒業して「よっしゃマラソン大会無い!」からの長距離走があった絶望感…(´・ω・`) (2019年1月1日 23時) (レス) id: 424c23822c (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - ホントですよ…マラソン大会とかは真面目に荒そうかと思いましたよ…ホント、やぁねぇ奥さん← (2019年1月1日 20時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 猫好きさん» 大丈夫ですよ!立ち眩みは現在学生の私でも日常茶飯事ですから…………orz 体育の長距離とか本当にもう……………………殺しに来てますよ…(´・ω・`) (2019年1月1日 14時) (レス) id: 3546326a0b (このIDを非表示/違反報告)
猫好き - 1km全力疾走?アハハ…知らないの?僕ヒキニートだから歩くだけで立ち眩みするのw( °∇^)] (2019年1月1日 13時) (レス) id: fdca804d9b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2018年8月14日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。