42 ページ42
．
あれでは人を撃ち落とせる威力を持ったテクニックだと分かっていてAに使用したと宣言したようなものではないか。
もちろん、彼がそういうつもりではない事くらいちゃんと分かっているけれど。
自分とAでは五歳も歳が離れていて、二人の間に何かが芽生える事は絶対にないという意味での発言なのだろうが、ほんの一瞬勘違いしそうになってしまったAは、『あれは良くない』と上唇を突き出しながら再び呟く。
中学、高校と、これまでAが生きて来た環境下では同じ学校内で恋愛をするのが当然のことで、そのため必然歳の差は三歳差までしかあり得ないと、Aの中には凝り固まった偏見という名の常識が出来上がっている。
加えて五歳上の兄を持っているからか、兄と同い年、もしくはそれ以上の人間を恋愛対象から消去しているため、月島の言動に動揺するような事もなかった。
が、他の女の子ではきっとこうはいかないぞ、と無自覚たらしの可能性を秘めた青年の行く末をやや心配した。
『私よりよっぽどツッキーの方が残酷なことしてそうだよなぁ……』
偉そうに正しい男女の在り方を説き伏せていた男の顔を思い浮かべながら、Aは小さく笑ってしまった。
帰宅後、月島に『今日は来てくれてありがとう！』と重ねてお礼のラインを送ると、いつも通りにスタンプが一個だけという愛想のない返信が返って来た。
それにスタンプで答えてトークを終わらせると、哀愁にも似た感情が胸に押し寄せて来て、ベッドの上で丸くなった。
今後の人生で、月島蛍と言葉を交わす機会もきっともうないだろう。
人が大好きなAは、それがどんな関係性の相手であろうと、繋がりが切れる事に心をひどく痛めてしまう。
部活が終わった。バレーボール人生の節目を迎えた。
楽しかった日常は、今日を境に変わっていく。
そんな悲しみに追い打ちをかけられたようで息苦しく、不器用ながらも優しい兄に慰めてもらおうと、Aは再び助けを求めてスマホに手を伸ばすのだった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿
高校生編、終わり。
次回、女子大生です！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 907人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メケメケ(プロフ) - とお。さん» とお。さ〜ん！🙌私にこんな画力はありません！お借りしたイラストです！笑 ですが褒めていただけて嬉しいです、ありがとうございます☺️一人の女の子にだけ弱々なツッキーを綴っていきます！笑 (2月29日 14時) (
レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - みりかさん» みりかさん！またしても「天才」ありがとうございます！恐れ多いですが嬉しいです！笑 (2月29日 14時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - 玲衣さん» えーーとっても嬉しいです！！😭🙏 こちらこそ素敵な褒め言葉ばっかりいただいちゃって感謝感激です！これからもこの調子で進んでいきますのでぜひお楽しみください！☺️ (2月29日 14時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
とお。(プロフ) - トップのイラスト、もしかしてメケメケさんがお描きに…！？美しすぎます😍ツッキー永遠に振り回されてくれ…… (2月29日 10時) (レス) id: c8ec7d17da (このIDを非表示/違反報告)
みりか - ほんと……天才です………(2回目) (2月29日 7時) (レス) id: 2c07cb6f0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メケメケ | 作成日時：2024年2月17日 17時
