27 ページ27
．
影山と似た顔がべそべそと情けない顔をしているのは少し面白くもあるのだが、兄妹共通の癖＿＿＿機嫌が悪い時に、上唇をムッと突き出すその表情だけはいただけない。
「おチビ、そのぶすっとした顔やめなよ。君は笑ってる方がいい」
背中に回していた手を外し、柔らかな頬に手を添えて、口角を無理やり上に持ち上げてみる。
と、周囲からとんでもない会話が聞こえてきた。
「すげぇ……あいつ今サラッと及川さんみたいなこと言わなかったか？」
「ああ、人間ってすごく多面的なんだな」
ぼそりと呟いた金田一と、「すごいものを見てしまった」とでも言いたげな相槌を返す国見である。
今度ばかりは月島も流石に無視できず、自らの汚名挽回のためにキッと目を細めて声を上げる。
「違うから。笑顔の方がどこかの誰かさんを連想しなくて済むんだよ。間違っても及川さんだなんて言わないでくれる？」
「ちょっと！？ 聞き捨てならないんだけどノッポくん！」
「月島です」
「自己主張が一丁前な月島くん！ どうして及川さんを悪口みたいに捉えてんのかな！？」
「紛う事なき悪口じゃねぇか」
「相棒に向かってなんて言い草だよ岩ちゃんッ！ ここに俺の味方は誰一人として居ないんだね！？」
孤独な大王様が懲りずにワッと顔を覆うのを白けた目で眺めていると、月島に頬を掴まれたままのAが、喋りにくそうに『つっきぃ』と名前を呼んできた。
「……なに？」
手を放してやると、Aは月島の教えに従い、下がりそうになる口角を自らの手でぎゅっと押さえた。
不覚にもその行動の素直さと面白さに笑いそうになっていると、
『ツッキーはお兄ちゃんのこと、嫌い？』
この少女は鈍そうに見えて、意外にも賢い方なのかもしれない。
単細胞タイプかと思いきや、しっかり人を見ているのだ。
蛙の妹は蛙かと思いきや、鳶の妹が鷹パターンかよと、月島は一瞬言葉に詰まった。
「き……いや、まぁ……別に。そんな事もないけど」
そうでも言わねばこの子供はまた泣き出してしまうかもしれない。
求められている答えは「好きだよ」の一択だろうが、譲歩に譲歩を重ねてこれが限界だった。許せおチビ。
「わはは、月島くんAにタジタジじゃん。岩ちゃん見た？ 今の聞いてた？？」
いつの間にやら泣き真似から復帰していた及川が、岩泉の肩をバシバシと手で叩きながら、反対の手を自分の口元に当てプークスクスと最高にムカつく顔をしている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 907人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
メケメケ(プロフ) - とお。さん» とお。さ〜ん！🙌私にこんな画力はありません！お借りしたイラストです！笑 ですが褒めていただけて嬉しいです、ありがとうございます☺️一人の女の子にだけ弱々なツッキーを綴っていきます！笑 (2月29日 14時) (
レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - みりかさん» みりかさん！またしても「天才」ありがとうございます！恐れ多いですが嬉しいです！笑 (2月29日 14時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
メケメケ(プロフ) - 玲衣さん» えーーとっても嬉しいです！！😭🙏 こちらこそ素敵な褒め言葉ばっかりいただいちゃって感謝感激です！これからもこの調子で進んでいきますのでぜひお楽しみください！☺️ (2月29日 14時) (レス) id: 9f81822037 (このIDを非表示/違反報告)
とお。(プロフ) - トップのイラスト、もしかしてメケメケさんがお描きに…！？美しすぎます😍ツッキー永遠に振り回されてくれ…… (2月29日 10時) (レス) id: c8ec7d17da (このIDを非表示/違反報告)
みりか - ほんと……天才です………(2回目) (2月29日 7時) (レス) id: 2c07cb6f0a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：メケメケ | 作成日時：2024年2月17日 17時
