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「はあっ……待ってや……!」
『なんで…………』
私を追いかけてきたのは、一緒のグループに居た友達やった。
膝に手を付いて、息を整えている。
『な、何?お金渡しに来たん?』
「そっ、そんな訳ないやろ……!!」
『っ、』
食い気味で話す友達は、怒りと悲しみが混じったような顔をしていた。
いつもと違う彼女の顔に、少し怖気付いてしまった。
「ここ最近、皆の様子がなんかおかしくて、何でなんやろってずっと思ってた。今日、やっとわかった。
気付けんくてごめんな、A」
友達は私の手を握ってそう言った。
え、5人全員私のこと嫌いなんちゃうん?理解出来へん。
『え、え?だって、皆私のこと良く思ってへんのやろ?なのに、』
「私は!Aのこと嫌いになんてなってへん!好きやで!友達やもん!!」
『……っ』
私の瞳を捉えて離さへん。私、信じてもええの……?
クラス替えしたばかりのことを思い出す。
私がメイク薦められた時、この子は、この子だけは無理やり押し付けてこんかった。
「気付くの遅くてほんまごめん……!」
『……っ遅くなんか、無いよ……ちゃんと見てくれてあり、がと……ッ』
「も、もう〜泣かんといてよ〜……!!」
我慢できなくなって涙を流す私の背中を、優しくさすってくれる友達の手が温かくて。……安心する。
こんなことで泣くなんて、案外私は弱い人間やったんやなあ。
次の授業があるのに、友達は私が落ち着くまで一緒に居てくれた。
『でも、こんなことしてええの?私みたいにハブられるかもしれへんで……?』
授業をサボって階段に座って話す。
「ええのええの!アイツらと一緒に居るくらいなら、Aと一緒に居たいし」
そんなこと言ってくれるなんて。目頭が熱くなる。
友達はなにか思いついたような顔をして口を開いた。
「なあ、もう先生に言おうや」
『えっ』
「こんなこと許されることやないもん。言った方がええって」
『うん……』
もっと小さい頃は先生とか親とか、大人に話すことって簡単に出来たはずやのに。
今はなんだか、大人に自分のことを話しにくい。
「私も一緒に先生のとこ行くから。……な?」
『……おん!行く!今日の放課後、空いとる?』
「空いとるよ。一緒に行こか」
『うん。……ありがとう』
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榁井(プロフ) - ゆたそさん» コメントありがとうございます!更新お待たせいたしました! (2023年3月21日 1時) (レス) id: bf04ed546e (このIDを非表示/違反報告)
ゆたそ(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (2023年3月18日 7時) (レス) @page34 id: 8dd546cbdc (このIDを非表示/違反報告)
榁井(プロフ) - 素因数分解さん» コメントありがとうございます!女の子同士の関係は結構現実味あるように書いたので、そう言っていただけてとても嬉しいです!応援も嬉しいです、ありがとうございます(*^^*) (2023年2月27日 0時) (レス) @page31 id: bf04ed546e (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - めっっちゃくちゃ面白いです...!今後のサムとの関わりやツムとの関係がどうなっていくのかとても楽しみです。女子友との関係もリアルでとてもゾワゾワしました。更新頑張ってください。応援しています-`📢⋆ (2023年2月25日 23時) (レス) @page29 id: 2687d60546 (このIDを非表示/違反報告)
榁井(プロフ) - ヲタクさん» こちらこそ2度もコメントしていただきありがとうございます!侑には少し口悪くなってもらいました(>_<;)侑のお話も書いていくので楽しみに待っていただけたら嬉しいです!(´˘`*) (2023年2月25日 19時) (レス) @page29 id: bf04ed546e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:榁井 | 作成日時:2020年3月15日 18時