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Osamu side
準備体操中に、体育館の2階へ上がってくる花柄ちゃん達が見えた。
ちゃんと来てくれたんや。それだけで嬉しく感じる。
「なんや、治今日機嫌良いなぁ」
「そうスか?」
顔に出とるやん俺。あかん、しゃきっとせな。
でも俺は、しばらく頬の緩みを隠すことは出来なかった。
「「お疲れでしたーッ!」」
練習が終わり、ネットなどの片付けが始まる。
体育館の2階に目をやると、花柄ちゃんは鞄を持ち、友達と一緒に階段を降り始めていた。
今から行けば普通に追い付くやろ。……よし、行くか。
ボールをカゴの中に入れ、体育館を出ようとすると、ツムに呼び止められる。
「なんや」
「……お前、またアイツのとこ行くんか」
「別にええやろ、ツムに関係あらへんし。サボるのが気に食わへんなら明日はお前の分までやるし、お前の好きなモン奢ったるわ」
「それもあるけど……アイツ、練習中うるさい奴らやろ」
ツムは頭を掻きながらそう言った。
顔に気に食わんって書いとる。顔に出やすいなコイツは。
「なんであんな奴らに構うん?それに、あのケバい茶髪に」
「…………あの子は、あの子だけは見てくれてんねん、うるさないし。ちゃんと、ちゃんと見てくれてんねん」
「おいサム!」
あの子を悪く言われて、なんだか腹が立って。
ツムはあの子のこと何も知らんくせに…………いや、俺もや。俺も、まだあの子の名前すら知らんねんな……。
体育館を出て少しすると、女子3人が集まっていた。
あれ、この子達花柄ちゃんの友達やねんな?でも花柄ちゃん本人は居らん。
……もしかして、もう帰ってもうた?
「なあ」
「えっ、ええっ!?治くん……!?」
「聞きたいことあんねんけど____」
「治くん!侑くんまだ体育館に居る……?」
「………………居るよ」
「ほ、ほんま?」
俺が喋ってたのに話遮るなや。自分の聞きたいこと聞ければええんか。
周りを見てないこの子らにも腹が立ってきた。
「お、治くん……!あんな、私 治くんと電話番号交換したいねんけど、」
「名前」
「え?」
「あの子の名前。あの茶髪の、今日練習見に来てた子の名前 教えてくれへん?」
俺も、目の前に居る女の子の話を遮った。
ツムにあの子を悪く言われたことにも、俺の話を遮ってきたこの子らにも苛立って。
そして何より、早くあの子の元へ行きたくて。
「あっ、Aのこと?」
「Aか……ありがとさん」
「お、治くん待って……!」
俺を呼び止める声を無視して、俺はあの子を追いかけた。
まだそんな遠くへは行ってないはずやし、急げ俺……!
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榁井(プロフ) - ゆたそさん» コメントありがとうございます!更新お待たせいたしました! (2023年3月21日 1時) (レス) id: bf04ed546e (このIDを非表示/違反報告)
ゆたそ(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (2023年3月18日 7時) (レス) @page34 id: 8dd546cbdc (このIDを非表示/違反報告)
榁井(プロフ) - 素因数分解さん» コメントありがとうございます!女の子同士の関係は結構現実味あるように書いたので、そう言っていただけてとても嬉しいです!応援も嬉しいです、ありがとうございます(*^^*) (2023年2月27日 0時) (レス) @page31 id: bf04ed546e (このIDを非表示/違反報告)
素因数分解(プロフ) - めっっちゃくちゃ面白いです...!今後のサムとの関わりやツムとの関係がどうなっていくのかとても楽しみです。女子友との関係もリアルでとてもゾワゾワしました。更新頑張ってください。応援しています-`📢⋆ (2023年2月25日 23時) (レス) @page29 id: 2687d60546 (このIDを非表示/違反報告)
榁井(プロフ) - ヲタクさん» こちらこそ2度もコメントしていただきありがとうございます!侑には少し口悪くなってもらいました(>_<;)侑のお話も書いていくので楽しみに待っていただけたら嬉しいです!(´˘`*) (2023年2月25日 19時) (レス) @page29 id: bf04ed546e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:榁井 | 作成日時:2020年3月15日 18時