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第三十四話 ページ38

「一月か、そん位前にこいつから連絡が入った。標的に動きアリ、『瞠る』を寄越せ、とな。俺は始めの所、こいつに自由に動ける体は要らないと思っていた。だがあんまりにもうるせえから、仕方ねえ作ってやろう、と思ったのが、二週間前だ。ただ、無駄な事はしたくないから、『標的の動き』を全て吐かせた。曰く、何もしてないらしい。ただ、報告をする少し前から、姿を見る回数が激減した、と云う事らしい。流石にこじつけじゃないかと思った。んで瞠るを造るのは止めにしたんだが、一回だけ報告の途中で不自然に声が途切れた事があって、バレてるかも知れないとなると止むを得なくてな。俺はまんまと『瞠る』を作らされた…なあ、そうだよな?」
 ケンジロウが横目でこちらを見た。わたしは答えるのが馬鹿らしいと思いながらも「まあ、はい」と返す。喰えない奴。
「まあ、そいつぁどうだって良いんだよ。こいつがどれだけ強かに親を騙したかは、こいつの目論見が全て当たっていて事態が全部上手く転がってった以上咎めるべきじゃない。そんな色々があって、8月14日、終に完成した自律人形こと蛇こと『瞠る』はお前らのアジトのドアをノックした。
そこからはお前らが知ってる通りだ。俺から話す事は特に無い。
取り敢えず、俺の話はここで中断にしよう。次は質疑応答と洒落込むかね…さぁ、何でも訊いてくれ」
 ケンジロウが両手を広げて尊大に言う。メカクシ団の面々は黙りこくって視線を交わしている。恐らく、どこから質問するか決めあぐねているのだろう。
 ややあって、キドが手を挙げた。
「俺達の所へ来た時から、ドールは…『瞠る』は、自分で考えて喋っている様に見えた。表情こそ乏しかったが…
あいつには、果たして意思や…自我のようなものはあったのか?」
 やや緊張した顔でそう訊ねる。返答次第ではこの中の誰かが逆上するかも知れない、とのんびり思った。
 ケンジロウは、あっさりとそれに答える。
「まあ、『瞠る』は自我があったみたいだな。意思は知らんが」

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作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時

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