第三十五話 ページ39
超☆ご無沙汰でした。スイマセン。
きららファンタジアに人間性捧げてました。
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押し殺した様な声で、さらにキドが訊く。
「意思と…自我は、違うものなのか?」
ケンジロウは、あー、と唸ると、さも面倒そうに顎を掻いた。考えながら歩いている。そして「冴える」の前で止まった。
「そいつぁ、ちと答えにくいなぁ…訊きたいのは『蛇』におけるソレって事だろ?…強いて言うなら、至上命題、願い、そういう物が『意思』なんだろう。消えてしまいたい、人と繋がりたい、誰かに会いたい。お前達の願いを叶えるのが蛇の意思だ。
対して自我は、蛇自身の願いだな。生き残りたいだとか、そういった願いで大事件を起こした奴は、お前らも知ってるだろ?」
何人かが「冴える」をちらりと見た。
「まあ、大体はそんな感じだ。『見張る』も『瞠る』も自我は持たねえ筈だったが…『見張る』はともかく、『瞠る』は自我があるみてぇだ。俺のプログラミングミスだわ。
つまるところ、失敗作だな」
「なんでそんな事言うのッ!?」
その場にいる全員が少しずつ感じ始めていた事が、マリーの激昂で形になった。誰かが怒ると思ってはみたが、本当にそうなるとは。
ともあれ、メカクシ団はあまりに冷たいケンジロウに対して抱いた違和感を共有し、ケンジロウへの疑惑を深めた。
対して、ケンジロウはただただばつが悪そうだ。
「…わりぃ。誤解させちまったみてぇだな。俺は別に故意で言葉をチョイスしたんじゃないんだが」
「でも、それだけではないだろう?」
今まで黙っていたアザミが言った。突然の発言は当然ながら注目を集める。
「ケンジロウの言葉を咎めたいのではないだろう?言ってみろ。お前等は、何が不満だ?何を望む?」
アザミの問い掛けに、うつむいたマリーが答える。それはとても静謐な語らいに見えて、割り込むのが憚られる。
「私は…
ドールちゃんともっと仲良くしたくて…ミハルちゃんとも仲良くしたくて…でも、ドールちゃんがもういないのが嫌で、」
「…マリー。『瞠る』、…ドールの為に、『見張る』を捨てる事を、お前は良しとするのか?」
マリーがハッと顔を上げる。
「メカクシ団、お前等もだ」
だが、誰も何も答えない。
女王に追従する臣下のようだ。
マリーが、囁くように、言う。
「…それは、やだ」
「欲張りなのではないか?」
「それでも…!
全部、諦めたくない!叶えてほしい…!」
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作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時