第二十八話 ページ31
モモが端的でありながら恐る恐るという個性的な質問の仕方で誰にともなく訊ねる。それはわたしも考えていた事だった。はげど…は、余りに古すぎるかな。それはともかく、モモの疑問に対して、誰も答えようとするようには見えなかった。認めたくないのだろう。
だが、やがてエネが得意顔でそれに応えた。
「大丈夫です。たった今、制御権を全部取り戻しました」
気取った様にウィンクをして、指をパチン、と鳴らす。
それと同時に、通路の壁が高速で展開していった。暫く呆然とそれを眺めていると、展開がピタッと止まる。
わたしの正面にこの部屋の出口とそれに続く一本きりの通路が出来た。わたしはその出口に向かって歩いていく。わたしは…他の皆は?
後ろを振り向くと、誰一人として付いてきていなかった。
「皆さん、どうしたんですか?」
ハルカが笑って答える。
「あの…そっち、逆だよ」
言われて赤い点の位置を確認すると、確かにわたしは逆方向に歩こうとしていたようだった。
「す、すいません」
頬が熱を持つ、気がした。
小走りで皆の所に戻ると、
「じゃあ、行こうか」
とアヤノが言った。
アヤノが先頭で、殿がわたし。間の団員の並びはてんでバラバラだった。
それから、何故そちらが出口だと気付かなかったかが不思議なほど煌々とした光が見える、部屋の出口へと歩く。
然程進まない内に出口を抜け、メカクシ団は、一面が白色の広い空間に出た。
その中心に、マリーが居た。
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作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時