【カケ"フ°ロ】目をみはる話【二次創作】 (ページ29)

今日:13 hit、昨日:0 hit、合計:1,195 hit

第二十六話ページ29

メカクシ団は階段を下って行く。
　少しして、「～～～♪」と、知らない曲で着メロのような物が流れた。それはシンタローのスマホからだったらしく、全員が階段から降りきった後、シンタローがスマホをポケットから取り出した。薄暗い廊下にスマホの画面が眩しい。
「知らねぇアドレスからだな…まぁ、開けるか」
　どうやら届いたのはメールの類らしい。シンタローがそれを開いた、と思った瞬間、よく音割れが起きないな、という感じの大音声が聞こえた。
「呼ばれて、
飛び出て、
ジャジャジャジャーン!!」
　シンタローの顔がひきつる。どんな迷惑メールだ懐かしい、と掃き捨てるように呟いていた。
▼エネがパーティに加わった！
　既に大所帯だから、スマホにしか場所を取らないエネは有難い…のかな。
「あれ？皆さん、どうして立ち止まってるんですか？早く行きましょうよ」
　エネが急かす。しかし、皆、安堵故か動こうとしない。そんな時、アヤノが口を開いた。
「おかえりなさい、『エネ』さん」
　その一言を言い終えると、さぁ、行こうと歩いて行ってしまう。エネを覗き込むと少し頬が紅潮していた。
　お帰り、そんな言葉を口々に言いながらアヤノに続く。が、そのアヤノが廊下を少し進んだ所で止まってしまう。
　ドールは気に掛けていなかったようだが、そこには無数のドアが並んでいた。全て同じデザインで奇妙な圧迫感がある。
「全部開くのは…時間が、掛かり過ぎるな」
　キドが溜め息を吐く。
　ならば、ここはわたしの出番だ。
　目の辺りが急速に熱を帯び、眼前に赤い点が幾つも表示される。
　わたしが何を見ているか分かっていないだろうそのまま、カノがヒュウッと口笛を吹いた。
「何というか、皆が皆面目躍如だね。ミハルちゃんなんか、最初からこの為にいるみたい」
　すうっと、頭が冷えていく。カノを殴ろうかとも思ったが、一応止めておいた。
　眼前の赤い点に目を移して、分布を確認する。
　点が密集している地点は今わたし達がいる場所だろう。
　そのほぼ直線上に、二つの点が動かずに存在していた。
「この廊下を、ずっとまっすぐ」
　わたしが腕を伸ばすのを追う様に、全員の首が動く。
「距離は70」
　わたしは再び先頭に立ち、その言葉を置き去りにする様にして歩き出す。半分程進んだ所で、ドアに行き当たった。ドアノブに手を掛けて押すと音もなしに開いた。
　入ると、三歩で二股に通路が分かれている。
　それは、部屋の中に設置された迷路だった。