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第二十五話 ページ28

どうやらその学校の場所は、全員が知る所らしい。誰もかもが迷いなく歩いていた。
 その歩き方も、炎天下とはとても思えない堂々たる物だった。皆、心配しているんだろうな。他人事として、そう思った。
 やがて、月日を経た風格を持つ、立派な校門が見えた。もちろん、一分の隙もなく閉じ切っている。
 どうするか、と思いきやいきなりアヤノがーー唯一スカートのアヤノがーー、それをよじ登り、難なく向こう側に降り立つ。ドールが一度使った手とは云え、まぁびっくりした。
 同じ様に団員全員が向こう側に行く。わたしも、それに倣う。
 そうして3分程度で、メカクシ団は学校への侵入を果たした。
「で、この後は」
 キドがそう訊ねる。わたしは説明下手なので、と先頭に進み出た。
 きちんと昇降口から中に入り、廊下を左に曲がっていく。その間じゅう「目を瞠る」を全開にし、壁の細い隙間を探した。
 角を三回曲がった所で、ようやく隠し扉が見つかった。始めから右に曲がってれば良かったのにね。
 さて、ここからが問題だ。ドアノブなんて親切な物が付いている訳もなく、セトが体当たりしてもびくともしない。
 電子ロックであることは既に知っている。この目で見た事実だ。
 故に、絶望的。
 メカクシ団の総意としては、
「エネさえ居れば」
と、云った所だろうか。否、無論ここでの足止めの為という理由があっただろうが。
 とにかく、メカクシ団はそこで快進撃の中断を余儀なくされた。だが、しばらくして。
 扉が少しだけ開いて、すぐ閉じた。全員が扉の方へ振り向く。
 同時に、何処かのスピーカーから「ぶつっ」と音がした。
「あーあー、テステス」
 緊張感がなく、聞き覚えはある声。
 全員が固まっていると、「あ、扉の前からずれて貰えますか?」と言われたので、粛々と従う。
 カッッッ!!!と強い光が一瞬目を焼く。
 扉にエネが映し出された。
「どーもー皆さんお久しぶりです!!
スーパープリティー電脳ガール、ちょっとヘマして捕まっちゃいました。
つまり私は囚われのお姫様…なんですけどね、檻がボロボロだったもんで、捕まってるのも馬鹿馬鹿しくて出てきちゃいました。
でもがっかりしないで下さい、お姫様はもう一人いますから。
じゃあ、メカクシ団総動員で、
囚われのお姫様、助けに行っちゃいましょう!!!」
 その長台詞が終わると、映し出されていたエネが消えた。
 そして、今度はしっかりと、扉が開いた。

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作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時

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