【カケ"フ°ロ】目をみはる話【二次創作】 (ページ26)

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第二十三話ページ26

面倒くさいことになった。気の抜けない話相手と評したのはわたしだが、圧倒的に間違っていた。
　気の抜けない、じゃなく、あいつは気の抜けきったフリをしている、それでいて気の抜けない、最早敵だった。
　人類全ての。
「あー…それを説明すると、長くなるかも知れませんよ？三万秒くらいかかるかも」
　本当なら、真実は至ってシンプルだから、書くとしても原稿用紙一枚で収まるだろう。だからこれはブラフ、ハッタリ。長いから聞くの止めたら？という遠回しな勧告、どころか拒否である。だのに、
「全然構わないよ、ね、皆？」
と爽やかスマイルで宣いやがった。失礼、言葉が乱れましたわ。正しくは、宣いあそばせやがりました、ですわね。
　しかしブラフの利かない相手となると、後はモノで懐柔という手段しかないが、そんな金も時間もない。拒否のために巨費を投じるなんて、根本から笑えない。
　こうなったら、ブラフは止めて正々堂々、ジョーカーを切って真正面から叩きつけるしかなかった。
「…マリーさん」
　何人かの肩がびくっ、とする。もう、気付いていたのだろう。
「はやく、助けに行かなくて、いいんですか」
わざと一言ずつ区切って言ってみる。
　わたしは、勝利を確信したような、例えば微笑みのような表情をしていただろう。何人かは非情だ、と思ったかも知れないし、もう何人かは蛇みたいだ、と思ったかも知れない。
　どちらも正解で、わたしは非情な蛇である。
　さらに追い討ちをかけて行く。
「わたしは、何がしかの部屋に閉じ込められていました。戒めなんかはなかったですが、マリーさんも同じとは限りませんし、」
「動向が分かるんだよね？マリーが何してるか、見えないの？」
　カノがわたしの喋りを遮る。敵対してる場合ではないだろうと思ったが、本当にマリーの身を案じた結果だと分かった。
　一理ある、と思って、わたしは能力を発動した。目の周りが熱を帯びていく。
　見えたのは、わたしと同じで一切の拘束はないが、死んでいるように気を失っている、もしくは気を失うように死んでいるマリーの姿。
「どうだった？」とカノが問う。
「拘束、外傷、意識全てなし」
少しふざけた台詞回しを用いた。
　しかしそれでも効果は覿面…いや、
こうかはばつぐんだ！
だった。
　モモが大きな音を立てて、ベンチから立ち上がった。