第十七話 ページ20
「これは、私から見た、この出来事の『主観的な全貌』だ。間違いもあるだろう、でも大きく外してはいない筈だ。些細な、その、間違いは許して欲しい。
あと…先に断っておく。エネさんについては、私は何も知らない。
それで、だ。
私と、マリーさん、ヒヨリさんは、ヒヨリさんの提案で、三人でお化け屋敷まで行った。少し並んだ…下らない話をしたが、ヒヨリさんの軽妙な話しぶりを意外に思ったのは覚えている。それからお化け屋敷の中に入った。私は殿だった。暗くて何もかもが見えづらくて、良い気分はしない所だった。しばらく歩いて、お化けから逃げたりなんだりしている内に出口の近くまで来ていた。全員がほんの少し立ち止まって、それからマリーさんはほっとしたのか、膝から崩れ落ちていった。ヒヨリさんが振り返って、こちらに手を伸ばしてきた。黒い塊を視認した瞬間に身体中に電流が走って、視界が黒く塗り潰された。
目が覚めると、暗い部屋にいた。窓がなく、地下だと推測出来た。そこにあったのは…ええと、大きなパソコン、何がしかの筐体、あと液体のたっぷり入った、人一人なら入れる位のガラス容器があったな。あれの中は居心地が良さそうだった。何一つ行動を妨げる物のないまま、私はそこに転がされていた。痺れはほとんどなく、得体の知れない空間だったので部屋を出ようと思い、駄目元でドアを開こうとした。
ドアは簡単に開いた。廊下を歩いて階段を探すと、案外すぐに見つかった。それを登っていくと、のっぺりとしたドアが見えた。開けて出ようとしたが暗証番号のロックが掛かっていた。解ける気はせず、引き返そうとして、階段の方へと向き直った。
その階段の最下段に、ヒヨリさんがいた。
私は固まってしまった。だけどヒヨリさんは、ふ、と目を逸らして、0816、とだけ言って私に背を向けた。そのとおりの数を暗証番号として入力すると、ドアは内開きに開いた。
私が地下から出て、着いたそこは学校のようだったが、日が日だし誰もいなかった。そこから私はその学校をしばらく彷徨って、やっと門らしき場所に出た。開いていなかったのでよじ登った。
マリーさんが気がかりだったが、一先ずその時点で私は自身が危機を脱した事を確信した」
そこで、ドールは一端の間を置き、炭酸で喉を潤した。
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「話し下手だなぁ…」
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作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時