第十八話 ページ21
「そこから、メカクシ団の皆さんを探そうと思った。あっちの路地もこっちの路地もと探していたら、いつの間にかかなりの時間が経っていた。喉も渇いた事だし、休憩でもしようかと思った。自動販売機がちょうど近くにあったので並んだ。先にいた人は同じ物を既に沢山買っていた。
私の前で大量に飲料を買い込んでいたのは、ハルカさんだった。実に好都合だった。私は、ペットボトルを抱えたハルカさんにわざとぶつかった。そしてその時に鍵をスッた。悪かった、これは今返す」
そう言ってドールはハルカに鍵を手渡した。ハルカは特に怒る様子もなく、
「どうして、鍵が必要だったの?」
と柔らかに訊ねた。
「アジトに、取りに行きたい物があった。私は飲み物を買うのも忘れ、アジトへと急いで向かった。
そして目当ての物を探し当てて、それをポケットに突っ込んだままここまで来た。
これが、私の言える全てだ」
ドールは、話を終えて一息ついた。それを見計らってキドが質問をする。
「『取りに行きたい物』って何だったんだ」
「あ、ああ…ちょっと待ってくれ、…これ、これだ」
少しばかりごそごそやった後に、ドールはある物を取り出した。
キドがびくり、と肩を揺らす。
「それ」は、蛇の脱け殻だった。
「そ、それを探しに、アジトまで…?」
「そうだ」
「…何の為に…?」
キドはすっかり怯えきった様子だった。
ドールはしばらく手の内で蛇の脱け殻を弄んだ後、キドの方にそれを投げて寄越そうとして、止めた。代わりにハルカのいる場所を狙う。投げられた脱け殻はその狙いを過たずハルカの膝上に落ちた。
「随分上手いねぇ」
カノが茶化す。ドールが真顔でそれに答えた。
「軽い脱け殻なら、あんなに綺麗に投げられない筈なのに、だ」
「いや…これ、意外と重いよ。詰め物でもしてあるの?」
ハルカが自然な面持ちで質問する。それを受けてドールは、いかにも我が意を得たりという顔をした。
「だろう?」
それから立ち上がってハルカの元へ歩いていき、脱け殻を再び手にしてベンチに戻った。
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「そろそろ良いだろ、話が冗長だなぁ」
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作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時