第十三話 ページ15
「オレは…
不安より、不審、だな。不信、とも言う。直截な言い方になるんだが、怪し過ぎる、と思う…前の、カゲロウデイズの時と、細部こそ違うがあらすじに直したら同じことだろ。『メカクシ団に新入団員加入、歓迎のため、団員達は遊園地に行った』ってな。それに、皆触れねぇが、『瞠る』っつーのはどこから来た蛇なんだ?」
と、ここまでを一気に言う。
「シンタロー君の蛇の事もあるし、新しい蛇は作れるんだろうけど、ね…」
「…必要性がない、よな」
「うん。能力も対キド用くらいしか…まぁ、発見は大事だけど、ねぇ」
「そうだな…
例えば、キドの能力が厄介だと思う誰かが作った、とかか」
「そう、シンタロー君、『瞠る』が人造だった場合、そいつの意図が読めない。もしかすると、僕達に害を為そうとしてる誰かかも知れない」
「カゲロウデイズの再現…だったら、最悪だな」
どんどん悪い方向に転がっていく二人の話を、いけないと知って聞いていた。僕も少し気になる所はあった。だけど、二人があんまり深刻そうで、僕はつい口を出してしまう。
「そんな事は、無いと思うよ」
二人、シンタロー君とカノ君がこちらを向く。
「遥先輩。…聞いてました?」
「…ごめん、色々。でも、僕も誰にも言わないよ」
シンタロー君もカノ君もほっとした様子で、ちょっと寂しいと思った。
「ハルカさん、『そんな事は、無いと思うよ』…だっけ?じゃあ、どう思うの?」
あまり邪険でなくカノ君が訊ねて来た。
「なんか、普通の子だよ。ドールちゃん」
実際、表情は顔に出ないけど気分は分かりやすい。
「そうっすかねぇ…」
「そうだよ。きっと、大丈夫だって」
柄にもなく力説する。もしかすると、コノハだった頃の僕に彼女を重ねているのかも知れない。
そして僕は話題を変える。
「ねぇ、何かに乗らない?シンタロー君もカノ君も一緒に。折角なんだから、遊ぼうよ」
何せジェットコースターなんて今までは暗黙のドクターストップが掛かってたようなものだからさ。
口には出さなかったけど、二人は分かってくれたみたいで、カノ君は快活に、シンタロー君は渋々ながらも立ち上がる。
「じゃあ、スピードが少し緩めのやつに乗ろう」
僕の指差した方向に、三人で歩いて行った。
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時