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第十四話 ページ16

オレと遥先輩、カノの三人で歩いている。遥先輩は忙しくキョロキョロとしていて、あぁ、こういう所に来なかったんだな、と容易に想像出来た。
「何か買って食べてく?」
 カノが軽く言う。遥先輩がさっきからしきりに屋台を見ているのが分かったのだろう。
 ポップコーンのキャラメル味を買った。
 三人で食べながら歩いていると、
「カノ、シンタローさん、ハルカさん!まずいっすッ!」
と向こうから息急ききってセトがやって来た。
 およそ尋常ではない焦りようだ。諦念のように、何かあったな、と察した。
「マ、マリーが…
どこにも居ないんす。ヒヨリちゃんも、ドールさんも」
 あれ。焦る程の事か?
「その三人、確か最初別れた時に一緒にどこかに行ってたよね。そのまま、奥の方に行ってるとかじゃないの?」
とカノは冷静だ。
「そうじゃないんす…俺だって色んな所は探したけど、それでも居ないんす。ヒヨリちゃんのスマホは繋がらないっすよ」
 オレは、もしかすると事態は深刻かも知れない、と思った。
「それは…面子がまずい。ドールはまだ素性が分かんねぇ。マリーは『合体させる』だから狙われ易いだろう。ヒヨリは…『冴える』に、乗っとられた…かも、知れない」
「ふーん…きな臭いね。
ドールちゃんは、素性が知れないというよりは…『瞠る』が使えないと探すのが厄介とも取れる、かな」
 オレとカノは臨戦態勢一歩手前だ。特にオレは、危惧していた事に近い事が起こったのだから、尚更だろうか。
「でも…」
 気を張るオレとカノ、焦っている事を隠そうともしないセトを宥めるように遥先輩が言う。
「これからの為に話し合いをするのは良いと思うけど…、まず、三人を探せるだけ、探してみようよ」
 その顔に湛えられた微笑みに、敵わないな、と悟った。
「…そっすね」
 セト、カノも頷く。
 しかし探すと言ってもオレ達だけでは難しいだろう。
「ヒビヤに連絡しよう」
とオレが言うが早いか、カノがスマホを取り出してヒビヤに電話を掛けた。
「すぐ来るってさ」
 それはそうだろう、ヒヨリに関わると知っているなら。
 そして3分と経たない内に、ヒビヤとモモ、キド、アヤノがやって来た。

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作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時

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