第十一話 ページ13
オレとモモが遊園地に到着した時には、まだ誰も来ていなかった。スマホで確認すると、まぁ早めに着いたな、という感じだ。
「なぁモモ、どっちが早く来ると思う?」
オレはさっきからつまらなさそうにしているモモに構ってやる事にした。
「賭けようぜ」
「えー…めんどくさいなぁ」
「オレが勝ったらコーラ一本。お前が勝ったら、おしるコーラにあたりめを付けよう」
「やるっ!」
全く現金な奴だ。その素直さを微笑ましく思う。オレも兄になったな。
「じゃあモモ、決めていいぞ」
モモは悩み始める。
「じゃあ…キドさん達の方で」
「無難だな。じゃあ、オレはアヤノの方で」
モモ、敗れたり!
クールに振るまいつつ、オレは既に勝利を掴んだ気分になっていた。こういう賭けは一見可能性の低い方を選ぶ方が良い。補正がかかるからな。
オレがバレないようにコーラ一本のための妄想をしようと思ったその瞬間、
キドが姿を現した。
「やったー!」
モモがガッツポーズを決める。しかしその後、キドで隠れて見えなかったアヤノが「遅くなってごめんねー!」と手を降った。
「「これは…どっちだ?」」
まずモモが口を開く。そして、
「キドさんが、先に見えてた」
「いや、後ろにいたんだから引き分けだ」
「でもキドさんが前にいたじゃん!」
と、思い返すと恥ずかしいレベルの口論を繰り広げた。
ヒートアップしていく議論の中で、じゃあ、とモモが言う。
「両方が、相手に賞品…賭けたものを渡すのは?」
「…よし。いいだろう」
停戦、もとい講和の協定。
…だが、オレはコーラ一本、モモはおしるコーラとあたりめ…
「騙したなッ!?」
叫びも空しく、既にモモは団員達の方へスタコラと逃げていたのだった。
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作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時