第十話 ページ12
楯山家に到着した。
インターホンを鳴らすと、「はーい」という声がする。しばらく待つと、ある程度整った格好をして、ヒビヤ君が出てきた。
そしてその後ろから、どう見ても寝起きのヒヨリちゃんが、目を擦りながらひょっこり姿を現す。
ヒヨリちゃんはこちらの姿を見とめて、たちまち固まる。マリーちゃんが困ったように笑いながら小さく手を振った。
追い討ちだった。
「ちょっとヒビヤ、皆が来てるんならそう言いなさいよ!」
などと言いながら、ヒヨリちゃんは猛ダッシュで家の中に入って行ってしまう。
残されたヒビヤ君が、実に微妙な笑顔で
「すみません、もう少し、待ってて下さい…」
と、言った。
それから、しばらく待ってヒヨリちゃんが家から出てくる。
「おはよう」
「…おはよう、ございます…」
未だに顔の赤いヒヨリちゃんが、凄みのある目でヒビヤ君をちらりと見る。
その視線に堪えかねたのか、ヒビヤ君がところで、と話を逸らした。
「そこのお姉さんは誰?…ですか」
モモちゃんが聞いたら怒りそうだなぁ。
アヤノちゃんが説明する。
「新しく入った人だよ。ドールさん…あ、自己紹介に、しますか?」
「あ、…あぁ。
メカクシ団に新しく入った。ニックネーム…でいいか。は、『ドール』だ。能力は『目を瞠る』と云う」
ヒヨリちゃんはドールちゃんを見て、目を丸くしている。小さく、「きれい…」という呟きが聞こえた。
「歓迎会としてね、これから遊園地に行くんだ。急で悪いんだけれど、二人とも行ける?」
「はい!」
二つ返事だった。ヒヨリちゃんは。
ヒビヤ君は、「まぁ、ヒヨリが、行くなら…」と小さく言う。
「さぁ、すぐ準備しなさい!」
と、ヒヨリちゃんがヒビヤ君を家の中に引っ張っていく。
ドアが閉まって、ドールちゃんが口を開いた。
「アヤノさん。ヒヨリ?は、アヤノさんの妹なのか?すごく似ている」
アヤノちゃんはえへへ、と笑う。
「本当?実はね、姪なんだ」
「へぇ、通りで…」
「私がね」
と、そこまででヒヨリちゃんとヒビヤ君が出てきた。
「じゃあ、行こうか」
アヤノちゃんがくるりと回って歩き出した。
僕やみんなもそれに続く。ドールちゃんは、歩きながら、「姪?…叔母より、年上の…?」と悩んでいた。
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作者名:一夏 白 | 作成日時:2017年10月12日 7時