【ヒロアカ】飛んで火に入る (ページ7)

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「爆豪さん、本日は………」

「いえ……お悔やみ………申し上げ、ます」

俺はあの後、あの女の葬儀に参加してほしいと懇願されてしまったのを断ることができなかった。あの女にとって俺は、結局何だったのだろう。都合のいい話し相手か？ただの隣室の男か？それとも………プロヒーローだと、知っていたのだろうか。

葬儀は実に簡素で、小規模なものだった。ごく少数の人数で行われ、花を添える順番はすぐに一番最後である俺の番になった。

そこからは、きちんと覚えていない。全てが済んで、俺はあの女の名前を書き記してあるこの紙を、ただ握りしめて立ち尽くしていた。

名前、を、恐る恐る覗いてみた。

《高山A》

俺は、遅すぎる溜め息を吐いた。

ああ、俺は、俺は。

「……高山、A…………クソ、こんな形で…ッ」

蜉蝣のような、そんな、真っ白で儚く、その薄命を美しく燃やして死んで行く。
彼女の香りも、声も、仕草も、全てが霧がかかったように思い出せない。

それでも、瞳の色だけは炎のように鮮烈に燃えていた。確かに、あれは命の炎だったのだ。誘蛾灯、だったのかもしれない。飛んで火に入る夏の虫、いずれにせよ俺はあの炎に誘われてしまった、愚かな虫けらだったのだ。

そして、俺はこの事全てを呑み込んで生きていかなければならない。俺は所詮、知らない内にあの炎に燃やされ死んだ、哀れで愚かな………虫けらに過ぎないからだ。

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