【カゲプロ】ろすとめもりー。【短編集】

猫 ページ35

「ファァ…」



とってもよく晴れた夏のある日。

私はいつものように塀の上で昼寝を決めこんでいた。


いやぁ、今日も相変わらず暑いよねー…。




「あ……！いたいた、Aちゃん！」


その声にピクリと耳を動かす。


あ、やっぱりカノだ…！

久しぶりだね〜、なんて撫でてくる手を大人しく受け入れた。



「なっ…お、お前！寄り道したいっていうからついて来てみれば、猫じゃないか…っ」


「そうそう、Aちゃんっていうの！かわいいでしょ〜！」



ええええ、だれ！？

その隣の人……っ女の人！？初めてみたよ！


し、しかも何か触ろうとしてきてる…！


思わずシャアア、なんて威嚇をかました。



「っ！？」


「あちゃ〜Aちゃんって人見知りタイプだからね。でも大丈夫、めっちゃいい子だから！」



え…っ？

そ、そんなこと言われちゃうともう威嚇しずらい…



女の人が恐る恐るまた手を伸ばしてくる。

この人全然めげないんだな…


よく見たらちょっと目がキラキラしちゃってるし…


も、もうしょうがない…




「さ、触れた…！触れたぞカノ！」


今日は特別なんだからね？？



ん……ま、思いのほか気持ちいい。


喉をゴロゴロ鳴らしたら、それはそれですごく喜んでる。

猫好きなのかな？




「は…！も、もうこんな時間か…！じゃあなっ」


「また来るからね〜」



今度は煮干しでも持ってきてね〜


買い物帰りだったらしい2人を見届けてから住処に戻った。





.





ふぁぁ…そして今日もポカポカだねぇ。




「ぁ……見つけた！A、だよな？」


ん〜？あぁ前にカノと一緒に来た女の人？


今お昼寝中なので後でもいいですか〜





って、えぇ…！？だれだ、そのモコモコした子は！？



「ね、猫ちゃんだ…っかわいい…！」



ち、ちょっと！！


せっかくカノが人見知りするって言ってくれてたのに…！


なんで知らない人なんか連れてくるのさ…！




「マリーいいか？こいつは最初すごく警戒するんだ。だが慣れるととっても優しい奴でなぁ…！」


えええええ……！？！？


それ言われちゃうとさぁ…！



モコモコした子がそっと手を伸ばしてくる。


私って苦労人だなぁ…っなんて猫ながらに思いながら大人しく撫でられ続けたのだった。



fin

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