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如月シンタロー ページ7

ーモモが優達に会う1日前
「イテッ」
子供の首に針が刺されていく。
何度見たって慣れないな。この光景は。
そんな事を考えていると、
「シンタローくぅ〜ん!」
という声が遠くから聞こえてきた。
最悪だ。あいつが来る。
「やっほぉぉぉぉぉぉ!」
「ぐぇっ」
突撃され、バランスを崩しかける。
「……くそっ、急にぶつかってくんなよ…フェリド!」
男ーフェリドを睨み付ける。
「まぁまぁ、そんなに怒らないで〜。仲良くしようよ。ね?」
何が仲良くだよ…吸血鬼の癖に…。
「それにしても…血、たまってきたかな?」
子供の方を見ながら言う。…いや、正確には子供の血をためるボトルの方を、か。
「悪趣味…」
「やだなぁ〜生きていくために少〜し貰ってるだけじゃん♪ていうか9年前に僕が血を飲ませてあげなかったら、君もこうなっていたんだよ〜?少しは感謝してよね〜。」
そう。俺は9年前、こいつに血を飲まされ、吸血鬼となったんだ。

ー9年前
モモと別れた後、俺はこっそり一階へ行き、様子を伺っていた。
部屋を次々に荒しまわる吸血鬼どもを見て、怒りを覚えた。
だからかもしれない。背後からフェリドが近づいてきていたなんて、気づきもしなかった。
「!!」
フェリドに気づいた途端、俺は思わず声が出そうになった。だが口を塞がれたため、うめき声となって消えていった。
「し〜っ他の奴に見つかっちゃう…。僕はフェリド・バートリー。吸血鬼だ。大人しくしてね?」
そう言い、手を口から離した。
「……ぷはっ…なんでお前…」
「仲間に報告しないのかって?それはね、君に興味があるからだよ。」
「……は?」
つい怠けた声が出てしまった。俺に興味?何言ってんだこいつ…。
「君、二階の妹ちゃんを助けたいんでしょ?」
そう言い、フェリドは上を見上げる。……モモの居場所までバレているのか…!
「……何をすればいいんだ。」
「おっ!流石天才!話が早くて助かるねぇ」
……何が天才だよ。バカらしい。
「君がこの血を飲んで、吸血鬼になるっていうなら、妹ちゃんは見逃してあげるよ〜」
そう言って容器に入った血液を取り出して、俺に渡してきた。
……これを飲めば、俺は吸血鬼になる。けど、モモが助かる。
……なら答えは一択だろ。
「…飲む。」
フェリドの目を見てしっかりと告げる。
「オーケー♪じゃあ一気にグイッといっちゃって〜♪」
手が震える。けど…モモの為なら…!
俺は容器の血を飲み干した。頭がクラクラする。何だ、この感覚…。も…う、意識が…。
「モ…モ…」
暗くなる視界の中、最後に見えたのはフェリドがニタァと笑っている姿だった。

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作者名:おまめ | 作成日時:2018年8月19日 17時

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