ちなみにそのころ父は色々な感情が積もり積もってフリーズしてた ページ13
なるほど、やはり子というものは愛らしいと、そう思ったのだ。それがかつての敵であってもだ。これ程に小さく、まだ人の手を借りなければ生きていけないであろう赤子に、一体誰が敵意を向けるというのだ。あってもそれは本人に関係のない恨み辛みの怨恨の連鎖の果てであろう。
だから、
「いい加減顔を出したらどうだ。アシュヴァッターマン。」
部屋から出てすぐの扉の後ろに隠れているかつての同胞に声をかける。じろりとこちらに視線をよこすがその目に覇気はない。奴の立場になれないオレが言うのも違うと思うのだがあえて言わせてもらいたい。アシュヴァッターマンはアビマニュ…、あの二人に弱すぎやしないだろうか。オレが知れない範囲の話であるからとやかくは言えんが。
「…分かってる。」
頭をがしがしと掻き毟りながら半ば困ったように細々とした声で呟く彼の背中のなんと小さいことか。マスターには彼がこの場にいることがバレてはいないようだから、この姿を見られていないだけましだろう。この二人…三人の関係はどうにかならないのだろうか。荒療治でもオレが無理やりにでも背中を押すべきなのだろうか。
そう思ったところに彼はぽつりぽつりと話始めた。
「…まだガキなだけマシ、なんだろうよ。オレがアイツとアイツを混合させないためにも、今回の時間は貴重なモンだ。」
分かっているじゃないか、と思ったのもつかの間。「でもやれるかやれないかは別物なんだよな…」と彼は項垂れてしまった。同胞としてなんとかしてやりたいものだとオレは思っている。
さてどうしたものか、今日は出直すべきだろうかと考えていたら、くいっと後ろから何か引っ張られるようなものを感じた。
「お兄ちゃんたちなにやってるの？」
後ろを振り向くと、アシュヴァッターマンが項垂れる原因でもある少年が俺の背の部分にあるファーを握っていたのだ。「…話をしているだけだ。」そう返答すると、そうなのですね！と言い、にこにこと微笑む少年の愛らしさは何にも例えようがないのかもしれない。これは彼奴らが溺愛したり特別に目をかけて育てるのも分かる気がする。ただ…。
…おいアシュヴァッターマン。驚いたのか心の準備ができていないのかは知らんが、その喉がひゅっとなったような音と真顔をやめろ。滑稽に見えるぞ。
言葉が足りない→←？？？「ほう、成る程。精神だけ退化したパターンや、どちらも共に成長・退化したパターンもあるのか。まるで症例のテーマパークに来たみたいだ。テンション上がるなぁ。」
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影印 - Ayakaさん» コメントありがとうございます。自分の中では最近ギャグ寄りの話が多いけど大丈夫かな…と結構心配になっていたのでその言葉がとても嬉しいです。 (2021年6月26日 15時) (
レス) id: 2648135176 (このIDを非表示/違反報告)
Ayaka(プロフ) - 面白いです。続きも頑張ってください！楽しみにしてます。 (2021年6月22日 19時) (レス) id: f23d5c420b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：影印 | 作成日時：2021年5月22日 12時
