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伊野尾ちゃんは何も言わないまま。
ただ不安げに瞳を揺らして、俺を真っ直ぐに見ている。
頭のいい彼だから、きっと、たくさんのことが脳内に浮かんでいて。
勝手に不安になってるんだってわかった。
ねえ、伊野尾ちゃん。
俺の言葉、どうしたら伝わるかな。
伊野尾ちゃんに届けるためなら、何回でも気持ちを伝えるから。
「台本のセリフじゃなくて、ほんとうの、俺の気持ちだから。
伊野尾ちゃんが好きです。
……俺の、恋人になってください」
かっこつけたセリフなんて、伊野尾ちゃんには届かない。
俺は、ただ伊野尾ちゃんの目をまっすぐ見つめた。
「……山田……」
伊野尾ちゃんの目はまだ揺れている。
なにか言葉を探すように俺の名前を呼んで、また視線をさまよわせた。
「いま、答えを出さなくてもいいよ。返事はいつでもいいから。真剣に考えて？」
そう言った途端、伊野尾ちゃんは泣きそうな顔をになる。
……やっぱり、今は返事をもらえそうにないな。
俺は微笑んで、伊野尾ちゃんから手を離す。
「ごはん、冷めちゃったね！ 温め直してくるから」
空気を変えるように明るい声を出して、料理を手に取る。
「……山田っ……」
伊野尾ちゃんの手が俺の服の裾を掴んだ。
なにか言いたげに口を開いたり閉じたりするから、ゆっくりでいいよ、と言う。
「……俺、ぜんぜん分かってなくて……。この状況も、山田の気持ち受け止めるのも……俺の気持ちも……。
だから、答えを出すのに、時間かかっちゃうと思う……。
でも、俺がどっちを選んでも、このままでいてくれる……？」
……なあんだ。
伊野尾ちゃん、そんなこと気にしてたんだ。
そんなの、答えは決まってる。
「もちろん。当たり前でしょ」
「……俺、山田になんにもお返しできないよ。それでもいいの？」
「伊野尾ちゃんがいるだけで、笑ってくれてるだけでいいよ」
ほんとうに、心から言ったことだったのに、伊野尾ちゃんは口を尖らせる。
「……そんなんでいいわけないじゃん」
「ほんとだって」
相変わらず、自己肯定感が低いんだなぁ……。
仕方ない。
……とっておきのあれ、お願いしてみようかな。
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花浅葱(プロフ) - あんずさん» あんずさん、ありがとうございます！ そう言っていただけてほんとに嬉しいです！！ もっと素敵な話を書けるように頑張るので、最後まで読んでいただけたら嬉しいです♪ (2017年12月26日 9時) (
レス) id: f54c27727d (このIDを非表示/違反報告)
あんず - もうほんとにめっちゃ好きです。作者様みたいな語彙力が無いんで、どれだけ楽しみにしているかうまく言えないんですが、とにかく大好きです！！これからも素晴らしいお話待ってます!! (2017年12月26日 1時) (レス) id: 5049a57a3f (このIDを非表示/違反報告)
花浅葱(プロフ) - 佳さん» 初めまして！コメントありがとうございます……!! 佳さんの作品はよく読んでいます。とても大好きな作者様からコメントをいただけて嬉しいです!! 更新を止めていたので、コメントも控えておりました。再開のめどが立ったので、また読んでいただければ幸いです♪ (2017年11月5日 6時) (レス) id: f2b0d99109 (このIDを非表示/違反報告)
佳(プロフ) - 初めまして、佳と申します(^^) 久しぶりの更新にとても舞い上がっています♪ 少し鈍感目な伊野尾くんと頑張っている山田くんの絡みがとても大好きです！花浅葱さんのペースで頑張ってください(^^♪ コメント失礼致しました (2017年8月9日 13時) (レス) id: 78b4aad582 (このIDを非表示/違反報告)
花浅葱(プロフ) - Umizoraさん» 初めまして……！時々更新を止めてしまうのを気にしているのですが、安心しました！頑張りますので、完結までよろしくお願いします！ (2017年8月9日 11時) (レス) id: e327c0a753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：花浅葱 | 作成日時：2017年7月20日 19時
