【ymin】役作りを頑張る伊野尾くんと本気を出す山田くんの話。2

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ぽつりぽつりと最近のことを話していく伊野尾くん。


悩みの原因は、どうやらあの山田くんのようで。


仲の悪かった山田くんとの距離が急に近づいて、どうしたらいいかわからなくなったこと。

相談してみたら、少し距離を置いてみたらいいと言われたこと。

そしたら、逆に山田くんを怒らせてしまったらしいこと。


そしていま、自分の気持ちがわからなくなりつつあること。


「……山田と一緒に居ると、ときどき苦しい時があって」

「……苦しい……？」

「……山田は、ずっと憧れの人だったから。俺なんかが一緒にいていいのかなぁって」


それを聞いて、どき、とした。


今でこそ、テレビでたくさん活躍している伊野尾くん。

私はアイドルには詳しくないけど、きっと、ここ数年でHey!Say!JUMPの名前を聞くようになったのは、伊野尾くんの活躍も理由だと思ってた。

だけど、伊野尾くんは、本心から言ってるみたい。



……伊野尾くん、自分が、山田くんと釣り合ってないって思ってるんだ……。

……そんな。

だって、伊野尾くん、あんなに楽しそうだったのに。

こんなとき、なんて言葉を掛けてあげればいいの……？



「……ごめんね。こんなの、返事に困っちゃうよね」



言葉が見つからなくて狼狽える私に、伊野尾くんは寂しそうに微笑んだ。

伊野尾くんの気持ちが離れていくのを感じる。


……だめ。


「……私には、アイドルの世界なんてよくわからないけど。でも、同じグループのメンバーで、釣り合うとか釣り合わないとかないよ。きっと、いままできっかけがなかっただけだよ」


「……きっかけ？」

「仲良くなるきっかけ。それがたまたま今来ただけでしょ」

「……そう、かなぁ……」

「そうよ。だいいち、伊野尾くんのほうが年上で先輩なんでしょ。もっと堂々としてたらいいのよ」


腑に落ちないような顔をしている伊野尾くんに、さらに言葉を重ねる。

まだ納得のいっていない様子だったけれど、だんだんと表情が明るくなっていった。



「……うん。そうする」

3→←番外編。悩める伊野尾くんに悩む美月ちゃんの話。1

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