眠りは深く目覚めは浅く【アルドノア・ゼロ】 (ページ17)

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貴女side

すぐ次の日に面会

すごく不安で

怖かった

だんだんと見えてくる兄の姿

極秘施設の面会室は透明なガラス張りだから

嫌でも目に入る

伊奈帆「僕が先に入る。彼には気づかれないようにするから。後ろに隠れてて」

兄はうつむいていて、こちらを見ようともしないから

多分、気づかない

伊奈帆さんがドアに手をかける

心臓がうるさい

怖い

伊奈帆「元気そうだね」

スレイン「あぁ、お前のおかげでな」

伊奈帆「今日は、サプライズがあるよ」

伊奈帆さんが目の前からいなくなる

反射的に目をつぶってしまった

怖い、から

伊奈帆「目を開けて、Aさん」

少し目開けると兄と目線があってしまって

そのまま動かせなくなる

スレイン「君は…」

喉が乾燥して舌がはりつく

伊奈帆「Aさん、分かるか？」

スレイン「A…は、僕の妹の名前だ。けど生きてるはずない！だって死んだって……事故で…」

貴女「そんな……」

私は、兄の存在を最後の最後だけど知ったのに

でも、覚えているの？

スレイン「……本当にAだとしたら、ペンダントを持っているはずだ。父さんがくれたお守りの」

それは兄の首から下がっているペンダントと対になっているもの

持っている

肌身離さず

貴女「これ、でいい？兄さん」

スレイン「……本当に、Aなんだな」

兄さんは優しかった

優しかったけど

許せない

貴女「どうして私を探してくれなかったの？」

スレイン「事故で死んだって、聞かされてたから。皇帝に」

貴女「そんな…ずっと待ってたのに……いつかは迎えに来るって、待ってたのに」

私のことなんて

見もしない

貴女「兄さんなんて大嫌い…」

伊奈帆「Aさん」

貴女「大嫌いよ！私がどんな、どんな仕打ちを受けたか知ってる？普通に殴られたわ。水もかけられたわ！酷いときはお湯の中に沈められたのよ！」

スレイン「地球人だから？」

貴女「そうよ…兄さんはそんなに酷くないでしょう？」

兄さんは酷く傷ついた顔をしてる

こんな事、言うつもりなかったのに

なぜ私が泣いてるの？

貴女「あげくの果てに、スレイン・トロイヤードの妹だってこの前の第二次惑星間戦争の最後にばれて……殺されかけたわ」

スレイン「っ…」

貴女「兄さんのせいよっ！私は兄さんが大嫌い。大っ嫌いよ！」

だけどね

貴女「大好き…なの……」