還り咲く心月【イナズマイレブンGO】 (ページ13)

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第12話ページ13

『やってみます！』

　二つ返事で元気よく返答した私を見て、シュウジさんは「決まりだな」と言ってニヤリと笑った。

　

　数日後。無事に足の怪我が完治した私は、退院後にシュウジさんに連れられて車に乗っていた。専属の運転手が運転していて、シュウジさんと私は後部座席に座っている。窓の外に見える景色は移り変わり、都会から離れて自然豊かな方へと駆け抜けていく。

　退院した今朝、手持ちの服が前に着ていた中学の制服しか持っておらず困っていると、シュウジさんが可愛いキャリーケースをプレゼントしてくれた。中に服や下着が数着、歯ブラシからタオルまで、生活に必要な物が入っていて何度もお辞儀して感謝を伝えたのは記憶に新しい。

　他の持ち物は、元の世界から持ち歩いていたスクールカバンに入っていたものと、開封すらしたいない高級メロンの箱のみだ。身軽だけれどこれから離島で寮生活に行く事を考えると、少々心許ない。膝の上に置いていたスクールカバンをぎゅっと抱きしめた。

　
『シュウジさん、ゴッドエデンってどんなところですか？』

「そうだな…自然豊かで空気が美味しいな。トレーニング設備が整っているから天羽もすぐに強くなるぞ」

『へぇ…私はシード？になるために何ヶ月訓練するんですか？』

「…天羽をシードにするつもりはないが…まぁその認識で良い。訓練内容にもよるが、早くて一ヶ月ほどだな」

『んん？』

　シードの訓練施設に行くはずなのに、シードにするつもりはないとはどういうことだろうか。

　そもそもシードの役割はどんな事をするのか、何度聞いてもシュウジさんは「配属された学校のサッカー部の活動状況を確認する役割だ」と言う。確認って具体的に何ですか、と聞いてもはぐらかして答えてはくれない。そのせいでシードは監視役員の立場ということしかわかっていない状況だ。
　
　はっきりとしない物言いに疑問を抱いて首を傾げていると、車はゆっくりと速度を落としてドアが自動で開いた。聞くタイミングを逃してしまい、続きを聞くことは叶わなかった。

　シュウジさんと共に車を降りると、そこは人の気配があまりない静かな港だった。貨客船が一船停まっているだけで、他に目立つ物はない。

　
「天羽、ここからは一人で船に乗って行く事になるがゴッドエデンの機関に話は通してあるから安心しろ。あとこれを」
　

　シュウジさんが手を差し伸べたので両手で器を作ると、そっと置かれたのは船のチケットだった。