刀剣乱舞 -私はブラック審神者らしい- (二)

54 (ヤ、) ページ4

｢！？よ、…、よと、…？！｣

口をパクパクさせながら、震えてるあたしを相変わらず目の前の神様はにこにこと見ている。

よ、よと、ぎ？え、それってあれだよね？
…え？何度もっ、て……え、は？？？


(あたし…じゃないわ、前のヤツ、この神様と)


ヤっ、


｢〜っ、！？｣


…その先は考えただけで、発狂しそうだった。
いや馬鹿でしょ！？え、あたしと？！！？え、てことはもうあたしこの神様に体中のあんなことやこんなことも見られたことあるってこと？！！ていうかそもそも神様と…そんなことしていいの！！？！？！





(いやダメだろ！？！！？！？！)




｢まあ、過ぎたことだ｣


はっはっは、と笑う三日月様に眼球カッピカピで釘付けになる。いやいやいやいや、笑ってますけど、






しかしそんなあたしの様子さえ露知らず。
三日月様はするりと話題と表情を変え、


｢さて、｣


と言って真面目な話に進路を戻した。
いやいや、さて、じゃない。なんてマイペースな人、いや神様か…！
駄目だ、この人から出てくる情報があたしごときに全く処理できる気がしないパンクだ。



｢…こんのすけが、そなたを庇うことは、“言霊”の術中の範囲内だ、まだ疑う余地がある｣
｢…、｣

手を離されることは無く(まことに心臓に悪い)、柔らかく握られながら話される言葉に、呆けかけるが、何とか切り替えて真面目に聞こうと頑張った。

言、霊…、


…こと、だま…？



｢“言霊”とは、霊力で相手を縛り、無理に従わせる目的で、前の審神者様が多用なさっていた力の1つです｣


困惑していたあたしの様子を、瞬時に察してくれたんだろう。スーパーサポーターこんのすけさんが横からすぐに教えてくれた。ふむ、助かるぞ、と三日月様がこんのすけさんに優しく微笑んで言う。
それに関しては全くもって同感である。



言霊…、操る、…え、つまり、前のヤツは、こんのすけさんを盾にして、自分だけ助かろうとしそうな、最低なヤツだったってことなんだ。それに、

最初あたしを殺そうとしたこの三日月様が、…自分から進んで、好意的にあたしとそんなことする筈ないのは、あの殺気を感じてありあり分かる。

ああ…、っていうことは、その行為も、…きっと、無理矢理なんだ、“言霊”ってやつで、無理矢理したんだ、…


うっ、わ、…、


(そんなの、もう犯罪じゃん……、)

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