53 「信じよう」 ページ3
「信じよう」
そう、言われた。
(あたしの話を、)
え、
信じた…、の、?
「、っあの、」
間抜けな顔をするあたし、そして視界の端で同じ顔をするこんのすけさんの前で、三日月様は笑っていた。
(なんで笑ってんの、)
またまた困惑に陥りながら三日月様を見ることしか出来ない。くらくらと気が遠のきそうになる。
三日月様は、その長い睫毛を伏せながら、「なに、」と静かに言い添え、話し出した。
「不思議なことも、稀とはいえ、確かにあるものだ」
「…」
「それが、起こっただけのことなのだろう」
そんな、嘘、
そんな簡単に、
「し、信じ、」
信じられるわけ。
言葉が続かなかった。でも、
儚く微笑むその顔と、全く、動じない姿。それは、この神様の前で、何を言っても、と思わせた。
「、」
穏やかにいる風に見える綺麗なこの神様も、その見た目にたとえ今、現れてなくても、こんのすけさんを最初見た時みたいに、散々な、聞くだけで吐きそうな、酷いことを、ここで体験した筈なのに。
初めて見た時の恐怖感を、今や全く感じさせない三日月様の豹変ぶりに追いつけない。
確かに、あの時、三日月様はあたしを恨んでいた。
ほんとうに、確かに殺そうとしていた。
あの感じたこと、あの三日月様の感情は、
(本物だったのに、)
どうして今、そんなケロリと笑い、信じられるんだろう。
「、…」
何を言ったら良いか、また分からなくなって、狼狽える。こんのすけさんを見ると、あたしと三日月様を、おろおろと目線を往復させながら見交わしていた。
う、うん動揺してるのあたしだけじゃなくて安心、
「すまんな」
「、え」
視線を戻すと、そこにはいつの間にか、あたしの目の前に擦り寄って、あたしの手をゆっくり握る三日月様がいた。
…。
……………………………は?
「ふむ、やはりそなたは別人だな」
「〜〜〜!?!!?」
ぼんっ!と顔に熱が集中する。
顔をほんの少し傾け、あたしを上目で見るその神様に心臓がそれまでと全く別の意味で跳ねた。
霊力が違う、などと付け加えているが、ちょ、まじ、あたしの手、今めっちゃ…手汗酷いから!!!
「、!?や、っあの、あたしの手…!」
「はっはっは、新鮮だな」
あたふたと真っ赤になって慌てるあたしに愉快そうに笑った神様は、続けて爆弾発言を投下した。
「俺とそなたは何度も夜伽を交わした仲なのだぞ?」
………。
前のヤツマジで何してんの!?!!?
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鳥(プロフ) - 読者様 一つ一つにお返し出来ずすみません!コメントありがとうございます!(三)についてですが、推敲が終わったところから随時公開しております!またお時間空いたり思い出して頂けた時に読んでもらえたら嬉しいです。遅筆ですが楽しんで書いております (7月7日 10時) (レス) id: 4bf57b87a0 (このIDを非表示/違反報告)
yura(プロフ) - 初めまして!一気に見させていただきました。とても面白いです!そして続きが気になります。パスワードおしえていただけないでしょうか? (6月18日 13時) (レス) @page50 id: 673a00a1b4 (このIDを非表示/違反報告)
ユナ@前垢消えた(プロフ) - 続き楽しみにしてます!!!!! (2023年4月28日 13時) (レス) @page50 id: 0e552ce067 (このIDを非表示/違反報告)
テオ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。ここまで読ませていただき本当に面白いと感じました。表現の仕方がとても好きでストーリーも最高です。推敲が終わるのをとても楽しみにしています。無理のない程度で頑張ってください💪 (2023年4月27日 14時) (レス) id: 85b09c3093 (このIDを非表示/違反報告)
クロ - 始めまして!クロです凄く面白くて続きが気になるのでパスワード教えてくださいm(._.)m (2023年3月30日 1時) (レス) @page50 id: 16daf975b9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳥 | 作成日時:2020年2月24日 20時